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苦しみを無くすための仏教的アプローチ

 最近スペースにお邪魔することが多いです。

 仏教関係で知り合ったささもとさんと先日スペースでお話しました。
 初めてお話しましたが、仏教に関するお話や日常で感じていることなど、たいへん興味深くお話を伺いました。お話をした中で特に印象深いことについて以下に書いてみます。


 話の流れで、仏教が心の病を治す病院のようなものだという話題になりました。その時私が「心の病を患っている人がいたとして、その人がその病のまま受け入れられる場があるなら、その病はわざわざ治す必要があるのだろうか」というような問いを発した時、ささもとさんが以下の主旨のことをおっしゃいました。
(なお、心の病という言葉にはそのスペース内で非常に広い意味を持たせており、いわゆる精神疾患というものだけでなく、より広範に社会に上手く馴染めないという人のことも念頭に置いた表現になっています)


 私が良いなと思ったのは、治るか治らないかというより、(仏教によって)本人が自分の病について区切りをつけられること。一生治らない不治の病にかかったとして、本人がもうだめだ、おしまいだとなるのか、治らないけど、その病を受け入れるかどうか。治らないけどその病を受け入れられれば、本人の心がその病に縛られなくなる。私はそこを目指したい。


 ささもとさんのその話を聞いて、軽く感動を覚えました。仏教の目指すところって確かにそういうことだ、と思いました。

 人それぞれ、苦しみを感じるところは違いがあると思います。自分の能力が至らなくて評価されずに苦しんだり、社会にうまく馴染めずに苦しんだり、他責的な性格で外にばかりうまく行かない原因を求めて苦しんだり。
 仏教の苦しみを除くアプローチは、その苦しみを感じる直接の原因を取り除くことではありません。つまり、能力が至らないで苦しんでいる人の能力を引き上げることで苦しみを除いたり、社会に上手く馴染めない人を上手く馴染めるようにすることで苦しみを除いたりするわけではありません。
 
そうではなくて、能力が至らないであるとか、社会に上手く馴染めないということが気にならなくなるので、結果としてそれらが苦しみを生じさせなくなる、という解決を目指します。

 非常に卑近な例でその機微を比喩的に説明しますと、小学生男子にとって足の速さというのは非常に価値のあることです。足が速いとクラスのヒーローだし、遅いとクラスでの評価も低くなります(最近は違うかもしれませんが、私が子どもの頃はそんな傾向もありました(笑))。足が遅い男の子は自分の足の遅さに非常に劣等感を感じ、苦しむかもしれません。
 しかし、その子が大人になり社会に出ると、足が速いか遅いかで評価されることはほとんどなくなります。それよりもコミュニケーション能力が高いとかいろんなアイデアが出せるとか、といったことの方が問題になるでしょう。すると、その人がずっと足が遅いままであっても、足が遅いことに劣等感を感じることはなくなるかもしれません。足が遅いことが「気にならなくなる」ことで、足が遅いことによって苦しみが生じなくなるのです。

 仏教のアプローチはそういうものです。苦しみを生じさせるその人にとってのネガティブな事象を無くそうとするのではなく、その人がその事象をネガティブだと思わなくすることが仏道修行の歩む方向性です。

 そういう話をささもとさんがサラッと話されたことで、「おお!この方はちゃんと仏教の精神に基づいて生きていらっしゃる!」と感動を覚えたのでした。 その他にもささもとさんのお話から多くの気づきや学びをいただき、非常に楽しい時間でした。


 私は今まで、仏教を学んでいましたが、リアルで出会う人で仏教の話が通じる人にはほとんどお会いしたことがありませんでした。お寺のお坊さんとお話をすることはありましたが、私が住んでいる広島県は浄土真宗西本願寺派のお寺が多く、浄土真宗は修行をする教えではないので、修行することで悟りを目指す上座部仏教徒は思想的な土壌の違い大きく、深い話がしづらかったのです。そのため、あまり仏教に関することで深く話をする機会がありませんでした。
 しかし、最近になってささもとさんを始め、仏教の修行をしながらそれを生活に活かしていらっしゃる方々に、ネット上ではありますがお会いすることができました。そういう方々とお話すると、自分の人生と結びついた形で仏教の深い話ができ、自分の思い違いが正されたり、多くの気づきや学びをいただけます。
 今まで出来なかった仏教を通しての人との交流ができ、私の「仏教の話したい欲」もかなり満たされております(笑)。

 noteで自分の思考を言語化することは自分の頭の整理には有効です。それとは逆で、人と話すことは自分の考えを様々な事象と関連付けることで広げることができます。思考を言語化することとは違った効果があることを実感しています。
 これからも、出来れば多くの人とお話したいと思いますので、みなさまどうぞよろしくお願いします!


 本日は以上です。スキやコメントいただけると嬉しいです。
 最後まで読んでくださりありがとうございました!