kintoneで実習運営テンプレートを作ってみた。

(2022年5月現在アップデート中なので公開停止中)

社会福祉士の国家試験受験資格取得のためには、養成課程において最低180時間の実習が必要である(2021年度入学生からは、最低240時間になる予定である)。

学生を施設・機関・地域・各種団体に送り出す、というのはそれなりにマネジメントが必要な作業である。誰が、いつ、どこに、どれだけの期間実習に行っているかを把握しておかねばならないし、現地で教員が指導をするルールもあるので(これを巡回指導といい、週に1回がノルマ)、そのスケジューリングもしなければならない。

私は2005年からずっとこのマネジメントに携わっており、限られた人的資源でどうやって情報を管理するかに心を砕いてきた。最低限必要なテーブルは以下の3つ。

1)学生一覧
2)施設一覧
3)実習一覧(1と2をルックアップする)

2005年にそれまでEXCELのシートで管理されていた職場に入ったので、1ヶ月かけてACCESSに移行した。その後、私が2006年に移動したのでそのシステムはどうなったか知らない。現職ではなぜかFileMakerが利用されていたので2018年頃までFileMakerで管理されていたが、各人がEXCELに書き出してどんどん編集しだすので、すぐに最新版がいくつもできて、データベースとしては破綻していた。

ようやくkintoneに出会い、2019年度から試行を始めた。今回は基本となるアプリを3つ公開する。

1)学生一覧

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これは学生の情報を管理するアプリ。実習を希望する分野や、自宅・下宿の最寄り駅を記入し、実習中の通学時間が過大にならないように配属するため。またゼミの教員等を記入し、巡回指導担当者を決めるのにも使う。

2)施設一覧

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受入施設を管理するためのアプリ。たくさん書類を郵送したりするので、住所を差し込み入力したり、何年に実習を実施したかを記録しておく。実習指導者がルックアップになっているのは、異動などに備えて実習指導者一覧は別アプリにしているため。今回はシンプルにするために指導者一覧はテンプレから外してあります。

3)実習一覧

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そして、1と2からデータを引っ張ってきて(ルックアップ)結合させるためのアプリ。実習開始日や終了日、帰校日、訪問日の入力はこのアプリで行う。

この3つのアプリが基本となって、実習指導者一覧アプリとか、巡回訪問報告書アプリとかを派生させています。あくまでも養成校の内部で使うデータベース部分だけです。

次の目標は

1)日々の実習記録アプリ…これは指導者さんと共有して、日々の実習内容を教員・指導者・学生が相互に確認する。現在はLINE WORKSでやっているが、お金が許せばkintoneに蓄積したい。

2)実習計画書アプリ…2021年度カリキュラムでは2箇所の実習になるので、1箇所目と2箇所目の実習指導者にも連携が必要になる。バラバラの実習ではなく、240時間に連続したテーマを確保する必要があるので、指導者1ー学生ー教員ー指導者2をつなぐためには、計画書を4者で共有作成することが望ましい。Googleドキュメントでも十分だけど、できればkintone内に蓄積したい。

こういうフォーマットは各養成校がバラバラに作るんじゃなくて、できるだけおんなじフォーマットを使うほうが、実習受け入れ施設にも負担が減る。

本来は、日本ソーシャルワーク教育学校連盟(ソ教連)さんが音頭を取ってサイボウズと契約して、加盟校に利用するように促すのが本筋。私もいろんなルートを使って売り込んでいるんだけど、ソ教連さんは、カリキュラムの中身には関心があっても、こういう実習マネジメントへの関心は少なさそう。多くの養成校では大学職員や実習助手と呼ばれる立場の人がこういうマネジメントを行っている。ソーシャルワークプロパーの教員は支援の方法論の開発には熱心だが、実習マネジメントに直接携わってはいないのかもしれない。現在の私の職場は、職員や助手さんがいないので、講義担当(実習指導)の私がやらざるを得ない。

講義担当の教員が実習のマネジメントを担うことのメリットは、確かにある。権限のある教員が実習の全体像を把握できるというのは学生にも現場指導者さんにも安心感があるだろう。ただ、私の人的コストはべらぼうにかかる。だからICT化をすることは私が実習以外の仕事にも資源を振り分け、研究者であり続けるために必要な作業なのです。

幸い、サイボウズという心強い味方を得たので、なんとかこれで回して行きたい。kintoneをお使いの方で学生を地域に送り出すお仕事をされている方、ぜひともつながって情報交換しましょう。


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