回想録シリーズ第6弾『そして僕らに春は凪ぐ』の楽曲説明

こんにちは、大地の恵みPです。

遅くなりましたが、シリーズ曲の最新作を投稿していました。この曲の裏側、作るにあたってのお話をいくつか持ってきましたので、ここに書きます。拙い文章ですがよかったらご覧ください。

この曲の舞台は、中学生の頃と現在の自分自身の2つの視点から成り立っています。ここまでのシリーズ曲で様々なエピソードに触れてきましたが、それらの総集編としての機能もありとても重要な曲になりました。

中学2年生の終わり頃、私は部活の先輩と同級生の友人を同時に亡くしました。その時のことを今でも鮮明に覚えています。

キャプテンでもあった部活の先輩は、巧みなプレーとフォローで常にチームを支えていました。当時私はサッカー部に所属していて、中学2年生の春にAチームに昇格したばかりの頃、彼の指導のおかげで大きく成長することができました。そのご恩を今でも忘れることはありません。先輩の卒業式でもらった制服のボタンは今も大切に保管しています。
しかし、その後はあまり交流する機会がなく、時々「先輩は元気にしているかな」と思い出す程度に留まっていました。私が引退した後にでも一度ご挨拶しに行けたらなと考えていましたが、その時期に私が転校することになってしまい叶いませんでした。その後は身の回りのことや受験勉強に追われて、気づけば元いた学校のことはすっかり頭の隅へと追いやられていました。
それから少し経った2020年冬のある日、母から告げられた一言に、私は身体中が凍ったような感覚に襲われました。

「先輩が亡くなった。」

気づいたら自室の床に座り込んでいました。その衝撃に立ち上がる気力もありませんでした。先輩がいたからあの時の私は頑張れたし、微力ながらチームに貢献できた。あなたのおかげだ。せめてそう伝えておきたかった。でもそれは出来なかった。
受験が迫っていたこともあり、最後のお別れに参加できなかったことは今でも本当に悔しく思います。あの時以来私はずっとお別れを言えないままでした。


同級生の友人とは、席が近かったことからよく一緒におしゃべりをしたり、同じ班活動で協力したことで仲良くなりました。よく私がくだらないことを話すと、顔をクシャクシャにして笑ってくれるとても明るい子でした。ただ彼女は体調を崩しがちで、ある時から長期入院でしばらく学校に来ないことを先生から告げられました。まさかそんなことが…と驚き、心配でいっぱいになったのを覚えています。
そんな彼女でしたが、時が経ち秋になって文化祭が近づいたある日、クラスに戻ってきたのです。クラス全員が驚く中、「いつも通りに過ごしたかった」とあえて私達に何も伝えずに復活したこと、そして最後の文化祭を楽しみたいという気持ちを聞いて、心から嬉しく、とても安心しました。しかしそんな瞬間も束の間、体調が再び悪化し再入院となってしまいました。「嘘だろ…」と信じたくないような事実を前にしながら、なんとか彼女の無事を祈り続けました。その後、先述した私の転校と受験が重なり、彼女から遠く離れてしまいました。

高校入学が迫る2020年冬、回想録シリーズ第3弾エピソードに書いてある大切な友人の死と、先程書いた部活の先輩の死が重なり、しばらくは涙が絶えない日々でした。そんな中、母から告げられた一言が追い打ちをかけました。

「〇〇ちゃんが亡くなった。」

あまりのショックで涙すら流せず、なぜか笑いが込み上げてきたのを少し覚えています。不謹慎なのは分かっていましたが、もうどうすればいいのか分からなかったんです。こんなに人が死ぬなんて、たとえ想像でもこんな残酷なことは思いつきませんでした。
その後先生と連絡を取り、お花とお手紙を送りました。彼女と過ごした時間はとても短かったですが、それとは反対にとても濃厚な時間を過ごすことができました。直接感謝を伝えることはできませんでしたが、最後の会話が何気ない「またね」で終えられたことは少し救いでした。


あれから4年ほど経ち、時々思い出しては辛くなり吐き気を覚えるほど悲しくなったりもしながら今日まで生きてきました。エピソードを振り返ってみる度、私の中学生活は楽しいことよりも苦しいことの方が多かった気がします。周りとの人間関係がうまくいかずずっとひとりぼっちだった時期もありました。もちろん自分にも落ち度はありましたが、それに気付けたのはちょっとずつ知らなかった世界に触れながら毎日を経験してきて、その度ようやく自分の至らさを知り、犯した過ちを悔いてきたからです。一方で、出会えた素晴らしい人たちと音楽のおかげで、ようやく生きる理由に自分の意思をつけ加えることができたのも事実です。
「生きることは素晴らしいことだ」とはっきり言うことなんて私にはできません。今も迷い続けていますが、この曲を作る最中で私の中でひとつ結論を出すことができました。それは「影を抱いて、私はこの先も生きていける」というワンフレーズ。この歌詞にある通り、辛かったことも嬉しかったことも間違いなく自分自身を形作っており、それらのおかげで私は「幸せ」というものを知ることができました。この気持ちであり続ける以上、私はこの先このことをずっと忘れない。という決意を込めてこの言葉を並べました。この曲が完成して、ようやく出会い、失った人達のの命ときつかった記憶を背中から持ち替えられました。相変わらず重いですが少し楽になったのでこの先ももう少し歩けそうです。

この曲をもって中学、高校時代(一部)の振り返りが終わりました。長かったけど一旦のピリオドが打ててとてもホッとしています。回想録シリーズはまだまだ続きますが、ひとまず第1章終了ということで。第2章楽曲もぜひ聴いてください。

長くなりましたが以上です。それではまた。

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