回想録シリーズ第2弾『アンダーメイル』の楽曲説明

こんにちは。大地の恵みPです。回想録シリーズ第2弾『アンダーメイル』の楽曲説明をします。長いですが、最後まで読んでくれると嬉しいです。

この曲の原話となるストーリーはまだ私が小学生の頃でした。当時私にはよく話す男友達のAと、女友達のBがいました。彼らとは当時流行っていたゲームがきっかけで仲良くなり、休み時間はいろんな話をして笑い合ったり、放課後はよく公園に集まって遊んでいました。特に3人連携プレイで当時最強と言われてたラスボスを倒した時に、顔をくしゃくしゃにしながら喜び合った時の記憶は今でもはっきり残っています。

そんなこんなで月日は流れ、ある日私はAに呼び出されました。相談があるとのこと。内容は「Bのことが好きで、告白したいんだけどどうすればいいかな。」と。びっくりしましたが、なんとか結ばれて欲しいなと思い「何かできることがあったら言ってくれ。」俺はそう返しました。告白のセリフや、伝える場所だったりをいろいろ話し合い、「スキュー(好き言う→スキイウ→スキュー)大作戦」なんていう名前もついて盛り上がり、ある程度まとまってきた頃、私たちにとって驚きの事が起こりました。なんとある日を境にBが学校へ来なくなったのです。前から少々休みがちではありましたが、1週間、2週間、1ヶ月、いくら待ってもBは学校へ来ませんでした。こんなことは初めてでお互い不安が募る中、ある日朝の会で担任からクラス全員へこう告げられました。
「Bは体調不良で入院した」と。

すごいびっくりしましたが、それはAもそうだったようで、目を大きく見開いて固まってました。すぐにでもBに連絡したかったのですが、当時私たちは携帯電話を持っておらず、入院先も分からずの状況で、接触するための手段が何もありませんでした。私はとにかく心配でした。Bの病気はもちろん、もしAの恋がここで終わってしまったら。彼はこの時初恋でした。恋、愛というものを分からないなりに一生懸命理解して頑張っていたのをずっとそばで見ていたからです。
心配が続く中、ある日担任が「Bに向けて手紙を書こう。みんなで早く治るように応援しよう」と言いました。皆が書く中、Aの鉛筆だけずっと止まっているのが見えました。相当悩んでいたのだと思います。最終的に45分間(授業1コマ分)たっぷり時間をかけて、Aは無事に書き終わりました。なんとか伝えたいことが文字になって安心したのか、大きく息を吐いてました。

それから約半年後、ある日の帰りの会に2枚のお便りが配られました。毎週発行の学級便り、そしてもう一枚にはこう書かれてました。
「○月○日、病気療養中だったB(本名)さんが亡くなりました。」

あまりのことに私は全身からサーっと暖かさがなくなり、固まってしまいました。先生がなにか説明してましたが全く耳に入りませんでした。するとどこからか啜り泣く声が聞こえてきました。見ると泣いていたのはBの友人でした。これがクラスにあった沈黙を突き破り、クラスメートがみんな涙を流し始めました。そしてそれは俺も。寂しくて、胸にぽっかり穴が空いたような気持ちになったのを今でも覚えてます。
だいぶ泣いた後、ふと私はAのことが頭をよぎりました。気になりましたがAの姿を見ることができませんでした。いや、見たくありませんでした。初恋であんなに頑張ってたのにそれが叶わぬものになった、きっとAは想像出来ないくらいの辛い思いをしているだろう、悲しい顔をしているのだろう、そんな顔見たくない、見てしまったら俺はもうどうにかなってしまう。
今日は1人で帰ろう。そう思い足早に教室を出ようとした時、誰かにランドセルを掴まれました。振り返るとそこにはAが立っていました。
Aは今までに見たことがないような顔をしていました。目に光が無い、と言いましょうか。そんなAから「ちょっと公園に行ってから帰ろう」と誘われ、一緒に寄り道をすることになりました。

下校中私達は無言でした。見慣れた景色、いつも通りのはずなのにその日はやけに滲んでいました。そうして歩き続けて10分ほど、公園に着き、ベンチに座り少し休憩しました。そういや3人でラスボス倒したのこのベンチだったな…。そんなことを思い出していた時、Aが話しました。その言葉を私は今でも覚えています。
「〇〇(私の本名)、スキュー大作戦失敗だな。終わっちったよちくしょう。」
その言葉の後、Aはクラスメイトの前では見せなかった涙を流しました。声をあげて、空を見上げて、地面を見て。こんな姿今まで見たことがなかった。それを見て私もまた泣いてしまいました。

どれくらい経ったのか、気づけば太陽は沈んで街灯がついていました。少し落ち着いてAと色々話をしました。3人で遊んだこと、Bのゲーム機壊しちゃった時のこと、Bが復活したら教えてあげようと思ってたゲームの攻略法のこと、そしてBへ伝えたかったこと。Aは話の中で「お母さんにも相談したんだけど、長々言わないほうがいいって言われた。」私は「なんて言おうと思ってたの?」と尋ねると、Aはこう返しました。
「愛してる。これをメインにして、あとは前置きで少し喋ってから伝えようと思った」と。
生きているBに伝えるつもりだった告白、俺はそれを聞いて「もうさ、今伝えちゃおうよ。」とAに提案。するとAの顔がみるみる赤くなります。
「恥ずかしいって…🫣」
「こんなにかっこいい告白のセリフ考えてたんだから、伝えなきゃ損だよ!Bもきっと喜ぶよ!」
Aは少しの間ウンウンしていましたが、ようやく決心がついたようで、空を見上げBに向けて話し始めました。亡くなったBに向けての告白、俺も空を見て、届いてくれ!と祈りながらAの言葉を聞いていました。前置きを語り、いよいよメイン。Aが放ったその言葉を書いてこの楽曲説明を終了します。長く拙い文ですみません。伝えたいことは早いうちに、失ってしまう前に。あなたが今もし抱えていることがあるのなら、それが望む元に届き、良い方向へ向かうことを祈ってます。それでは失礼します。

「愛していた。本当にありがとう。」

綺麗な夜空でした。

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