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後悔の昇華

雪が舞うなか
雪だるまみたいなかっぱをきてさぁ出勤。

おっと、かっぱ袋を忘れてた。

左ポケットにはすでにハンカチと手袋が。
まぁいいか、落ちないだろう。
ぎゅうぎゅうにしてつっこんだ。

そういえばこの前マスク落ちたっけなって
脳の隅っこにそんな記憶をもちながら自転車にのる。

右ポケットにはスマホ、マスク、きっと落ちないだろうと思って鍵も忍ばせた。

なんでそんなにポケットに入れるかって
リュック背負ってかっぱきたから
もうリュックには入れられない。

あ〜仕事着をいれたかどうかも気になる。
だけどもう一回かっぱを脱ぐなんて
面倒だし時間もない。
きっとあるはずと思って自転車を漕いだ。

雪がすごい、
頭を覆ってる部分がちょっとずつずれて
まつ毛に雪が止まる。

信号が赤になったらなおそうか。

そんなときに限って都合よく青信号。

すいすい進める。

それならば乗りながらひょいとなおすか。
だが、このかっぱは機能がよくて
手にはゴムバンドがついてて
手を通せて前からくる風で
めくれないようになってる。

ハンドルから手を離してかっぱと
一緒にツバ部分に手を伸ばす。

今度はポケットが気になりだす。
ごわごわしてるから大丈夫か。

前には工事のおじちゃんがいて
その前には右矢印のマーク

普通右に行けなんだと思うけど、
通された場所はマークの左側そして狭い。
おいおいここ通るのかよ。
通過してから右へ移動。
通行車もあって狭い狭い。

そしてやっと赤信号。
さぁポケットに手を伸ばすと
、、
かっぱ袋がない、、

ただのかっぱ袋なんだけど
このかっぱを買った時を思い出す。

かっぱも高性能だけど、
かっぱ袋も同じくらいすごいと感動してた。

綺麗に畳まなくても
袋をくるくる、かちゃっとベルトをしめたら
それでおしまい。
さらにはそのベルトを閉めたとこが取っ手にもなる。ぐちゃぐちゃにいれてもマチがあるから大丈夫。

どこかで置き去りにされた
かっぱ袋を思いながら残り2kmぐらい自転車をこぐ。

買えばいいか、作ってもいいなと
すぐに気持ちを切り替えようとしたりして。

駐輪場について
ないのわかってるけど左ポケットに手を入れる。

ポケットの中にあるもう一つの手袋を
リュックにしまえばよかったなって悔いながら、
かっぱをたたむ。

右ポケットのマスクを手にとり装着。
スマホある。
鍵がない。

、、鍵がない。
家の鍵だ。

まさか、、落とした。
電車にのる7分まえ。

気持ちは焦りながら足を運ぶ。

まずは不動産に連絡か。
今日は旦那が先に帰ってるしそこは大丈夫。
警察に届出か。不法侵入ないかな。
キーケースは思い入れあるものだ。

なんてことを2秒くらいで考えて。

もうかっぱ袋なくなったことなんて
どうでもよくて、
そんなちっこいことで
脳内ぐるぐるさせてたことなんて、
遠の昔のよう。

とりあえず電車の時間もう一度みる。
お、スマホの後ろにポケットの中で縦に
潜んでた鍵が横に倒れて
わたしの指にふれる。

ありがとう。
ここにいてくれてありがとう。

そして
駅に向かいながら
かっぱ袋をAmazonで探す旅にとりあえず出る。


悔いてしまう気持ちは
引きずりやすい、わたしの性格は特に。

こんな気持ちとの新たな向き合い方。
今日の数十分の出来事を物語にしてしまう。

こっちの表現のほうがより状況や
自分の感情に近いな、なんて思って
さらに細かいことに目を向けてみる。

本来あるものがなくなってしまう
与えられた権利がなくなってしまう。
あることが当たり前であると
なくなっただけで負の要素がでかくて
ぽっかり穴が空いたよう。
感情が凸凹することもある。

そんな時、言葉にしてしまい
負の気持ちを華へと変えられたら
たくさんの花束になりそう。

そして誰かにお裾分けもできそうだ。



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