社内ラジオのモデレーターになるために実践した5つのこと
2020年4月の緊急事態宣言からテレワークになり、会社の人と対面で会うことが少なくなる中、部署に関係なく社内の人とオンラインで交流する機会が増えました。
「多くの人がオンラインにいる今って、ある種情報が届きやすくなっているんじゃないか」
そんな風に思い、様々な人に協力してもらって、全社DXプロジェクトの社内ラジオを始めました。zoomを使った「見えるラジオ」。1~2か月に1回、45分間で配信しています。
今回、そのラジオの中でモデレーターとして登壇することになりました。
モデレーターって、そもそも何だろう?
モデレーターにはいくつかの意味がありますが、今回は「(パネルディスカッションなどの)司会者」という意味で使います(他にもカンファレンスなどでは、「ファシリテーター」や「コーディネーター」という役割が付与されることもありますが、この記事では同義として扱います)。
仕事柄、さまざまなカンファレンスに参加してきました。
その中で感じていたことが、モデレーターの重要性です。
「その分野・登壇者への理解の深さ、対話されている内容の即時把握力、それを受けてどの方向に話を展開するのか。ものすごくスキルと経験の問われる仕事だなぁ…」
そんな風に思っていた中で決まった、モデレーター登壇。
プレッシャー…(笑)。
話すのが超絶苦手なわけではないけれど、特段上手いわけでもない私。
でも、聞いてくださる方にも、話されるパネリスト達にも、楽しんでもらいたい。45分間で何か「持ち帰ることができたな」と、感じてもらいたい。
ここから、私の「モデレーターへの道」がスタートしました。
道の中で様々な実践をしましたが、「これは自分にとって効果があった」と思ったことをピックアップしてお伝えします。
実践①音声配信
2020年12月から、stand.fmというプラットフォームで音声配信を始めました。テーマは「デザインとテクノロジー」ならなんでも。
リスナーの方からは「”ITが作り出す仕事・生き方・向き合い方”に趣旨を置いて話しているように聞こえる」とフィードバックをいただきました(嬉しい…!)。
音声配信を始めたきっかけは、「モデレーター云々の前に、まずは自分の言葉で、考えてることを明確に話せるようにならなきゃ」と思ったから。
その点について、身近に素晴らしいロールモデルがいたので「どうやったらそんな風に、よどみなく、明確に話せるんですか?」と聞いたら、こんな返答がきました。
「自分がしゃべっているところをビデオに撮って、見返して振り返り、次に活かす。それを何度もやる。そうやって実践するのが一番力がつくよ」
「天性のものじゃなく、回数を重ねてPDCAを回す。それなら自分でもできるようになるかも」と思い。一人では絶対続かないのと、ビデオだと大変なので、外部に向けた音声配信にしました(聞いてくれる人がいるって、大事…)。
stand.fmでの配信は、「5分以内で自分の考えを即興で話す(毎回一発収録、原稿無しです)」ことの良きトレーニングになっています。
実践②スピーチトレーナーによるカウンセリング
stand.fmで配信を重ねていく中で、気になることも出てきました。
・自分のアクセントは正しいのだろうか、語尾が伸びる傾向があるがどうしたら直るか
・議論や会話の中での切り返しの幅が狭い
・複雑な背景や、一言では語り切れない難しい内容を、明確に伝えられない
自分だけでは解決できなかったので、ネットで元アナウンサーのスピーチトレーナーを探し、カウンセリングを受けました。以下に、その結果を抜粋を記載します。
1.アクセントや語尾について
自分の配信しているstand.fmをスピーチトレーナーに聞いていただき、声質と話し方のフィードバックを受けました(とても温かいコメントをいただき、自信になりました!その部分は割愛…)。
アクセントについては、「stand.fmを聞いたところ特に課題は無いが、詳しく発音を知りたければNHK日本語発音アクセント新辞典 を買うといい」と助言いただきました。アプリ版を買うと、音声を音で聞くことができるのでおすすめです。
語尾については、
・「語尾」と書いた紙を貼る(原始的だけど、効き目抜群!)
・stand.fmの開始1分を原稿で書き、語尾を意識して配信する
ことを勧められました。
ディスプレイに貼っております
2.切り返しの幅を広げる、複雑な内容を伝えることについて
こちらは発声のトレーニングというより、言語化のトレーニングに近いため、以下を実施するとよいとコメントいただきました。
・理想のモデレーターを1人決め、文字起こしをして、真似をする
・登壇時にどんな質問をするか、またパネリストがどんな返しをするかを想像して文字に起こし(=当日の脚本を書く)、練習する
これらについては実践③、④に続きます。
実践③理想のモデレーターの文字起こし
理想のモデレーターとして、イメージに合った方が数名いたのですが、「1名に絞った方がよい」とスピーチトレーナーから助言いただいたこともあり、イメージに合う方数名の「モデレーターとしての持ち味」を自分なりに分析しました。
分析結果はこちらの通り。
1.ここまでの話をわかりやすくサマライズし、次の質問をする方
2.ご自身の主張を登壇者の方の話も踏まえて、展開する方
3.ズバッと短く、突き刺すような問いをする方
この中で自分が目指したいところは「1.ここまでの話をわかりやすくサマライズし、次の質問をする方」であり、その中でも素敵だなと感じたのが、秋山咲恵さんという方でした。
秋山咲恵さんがモデレーターとして登壇されているこちらの動画を文字起こしし、何度も聞いて、真似をしました。
徐々にモデレーターとして、「こういう観点の問いのストックがあると良さそうだな」と感じたので、音声配信でまとめています。
自分の問いのストックにないものは、とっさには出てこない。
なので、こうして整理して入れておくことが重要だなと感じました。
実践④当日の脚本を書いてみる
そして、「登壇時にどんな質問をするか、またパネリストがどんな返しをするかを想像して文字に起こし(=当日の脚本を書く)、練習する」というスピーチトレーナーからの助言。正直「ここまでやる必要、あるのかな…w」と、最初は気がのらず…。
ですが、これはやってみて本当によかったです。どんな風に話を展開する余地があるか、そのパターンを自分なりに想像できました。
この通り話すことが目的ではなく、自分の想像を広げるための脚本。
ある程度時間を要しますが、イメージトレーニングの一種としておすすめです。
実践⑤自信を持つ
ここまで準備したなら、あとはもう自信をもってやるだけ。
自信がないなら、自信を持ってるフリをすればいい。
フリをしていれば、自信は自ずとついてくるから。
これは敬愛するローランド先生の受け売りです!
やってみてどうだったか
チャットやアンケート結果、その他個別にもらったフィードバックなどから、伝えたいことは伝わった印象を持ちました。
一方で、ラジオを見直したことで次にトライしたいことも見つかりました。
1.最初に「どのような聞き手を想像している場か」を話すとよさそう
2.体が左右に揺れるので気を付ける(音声配信では、わからなかった…笑)
3.話題に緩急をつけられると、前のめりになって聞いてもらえそう
やってみたからこそ、わかることがある。
だからこそ、次につながる。
「モデレーターの道」を歩む中で、あらためてそんなことを感じました。
この記事が、「アナウンサーのようなトレーニングは受けてきていないけれど、モデレーターをやることになった!」という人の背中を押せたら幸いです。
*補足:社内ラジオ全体のUXは、こちらでも少しお伝えしています。
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