ハボタンの詩：キヨシと未知の交配

キヨシはその小さなハボタンの苗を眺めた。
室内は静かで、窓の外には黄昏が広がっている。
スピーカーからは、ビル・エヴァンスの「Blue in Green」が流れてきた。
独特のピアノの旋律が部屋に漂い、まるで苗たちにも何かを訴えているようだった。

「嬬恋の農家さんがこれを見たら、"ちっちぇ〜キャベツじゃな〜"と言いそうだな」
とキヨシは独り言をつぶやいた。

しかし、彼はその言葉に疑問符をつけていた。
「違うぜ〜、これは私が交配したハボタンの子供たちなんだから。」

このハボタンたちには、キヨシが長い年月をかけて研究し、そして交配して得たタネが含まれている。
このタネたちは、ある古代の詩に記されたとされる神秘的な性質を持つと言われていた。
詩によれば、このハボタンは人々に幸福と調和をもたらす力があるとされる。
だが、それはまだ誰にも証明されていない。

「でも、ちゃんとハボタンになってくれるのだろうか…」と、キヨシの心に不安がよぎる。

「何を作ってるんだ、この人は」という疑問がどこからか聞こえてきそうだ。
だがキヨシは気にしない。
#へんな自信だけはある

自分が作り出す未来に、何か大きな可能性を感じていたからだ。

「作ってみないとわからない。それが面白い。そしてきっといいものができる。それが、この世界の未解明な謎に挑む、ナラフラの精神だ。」
#ちょっとカッコよくきまった

キヨシはコーヒーカップを持ち上げ、一口ゆっくりと飲む。
その後、苗たちに向かって小さく微笑む。

「どんなハボタンができるのか、全くの未知数だが、しっかりと育ててみよう。」
そして心の中でつぶやく。

「がんばれ、ハボさん！」

彼が部屋を出るとき、その背中には一種の賢者のような風格さえ感じられた。
ビル・エヴァンスのメロディが部屋に残り、小さな苗たちはそれをバックグラウンドミュージックとして、未知の未来に向かって静かに成長を続ける。

何が起きるか、どうなるかは誰にもわからない。
でもその不確定性がキヨシにとって、世界の神秘と美を感じる唯一の方法だった。

そして夜が更ける中で、古代の詩に記された神秘が現実のものとなるかどうか、その答えはただ時間の中に存在する。
キヨシはその答えを探す旅を続ける。
それが、彼自身の生きがいであり、そしてそれが、ナラフラなのだ。