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クロージング不要のセールスデザイン

一般的にセールスはマニュアルが存在します。このマニュアルはかれこれ30年以上アップデートされていない全く使えないマニュアルです。すべてを語るにはあまりにも大変なので「こんな用語が盛り込まれたセールスマニュアルは使えないよ!」というのを2つご紹介します。

①クロージング
②反論処理

①クロージング
あなたのセールスマニュアルの中にはクロージング(セミクロージング)というワードを入っていますか?入っているのだとしたらおそらくあなたは自分のメンタルを壊しながらセールスをしているかもしれません。

少し私の話をさせてください。
私は大学1年生の時にABCマートにアルバイトで入社しました。幸い顧客にゴリ押しをして買わせるようなクソみたいなマニュアルがなく比較的自由に接客販売をさせていただいていました。これがとても良かったです。セールスの型みたいなものは先輩の接客を見て学ぶのですが、当時のABCマートの先輩方の接客は顧客の欲しいものを超える提案をするためにヒアリングに力を入れて丁寧に接客をしていました。まさに今の私の売り方の基礎になっている部分です。この当時から「いかがですか?」を多用する販売員は売れず、お客様から「これにします」と引き出せていた販売員が売れていました

この実体験からもある通りクロージングとはほぼ無縁だった私はセールスコンサルタントとして独立をした時に衝撃を受けました。畳み掛けるようにクロージングをかけて顧客に商品を買わせる悲惨な現場です。

「いかがですか?」
「今日決めてくれれば20%引きますよ!」
「もう在庫限りなのでもう買えないかもしれません!」
「絶対にいいですから!」
「こちらが一番おすすめです」
と凄んだ表情でお客様に迫る姿を見て恐怖すら感じたことがあります。

そして、現場のセールスの方々と面談をする機会があった(結果この企業との取引は見送りました)ので、こんなことを聞いてみました。

「セールスをしていて楽しいですか?」

すると、
・怖いです
・必要のない商品を売るのは心苦しい
・仕事なので仕方がないと思っている
・売り込む時に罪悪感を感じる
・売上を上げないといけないので
・楽しくはない

そして、もう一つ

「精神的な疲労を感じることはありますか?」

すると、
・夜眠れない
・もう疲労感を忘れました
・たまに営業をしていてお客様に怒られる夢をみます

と、心身ともに不健康な仕事をしていることがわかりました。

セールスってそんなに辛いものなのか

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当時セールストレーナーを務めていた方に、結構強引にセールスかけるんですね、と聞くと驚きの一言がかえってきました。

「お客様のために私たちはセールスをかけているんですよ」

という一見まともそうな一言「お客様のために」「お客様の人生を変える」「お客様にはなくてはならない」と動機が善であるかのような言い回しで現場は完全に洗脳されているように見えました。

これはやばい・・・組織だな。。。

そう思いました。(なので仕事を断りました。)

お客様のためにっていう割には営業の話を聞いてる限り誰も幸せになっていないし、お客様の人生を変えるってそもそもお客様次第だしお客さまになくてはならないって売り手の勝手な都合だろ、そう思ったのです。

セールスってこんなに大変で辛くて仕方なくやるものなのか?

もちろんそんなことない!と言い切りたいところですが、営業職の離職率が高い理由はここにあるのかもしれないなとこの時に思いました。少なくともこんな環境下で仕事をさせられたら私はやめます(笑)

成田式セールスデザインで大切にしているのはクロージングではなくヒアリング

俗にいうヒアリングセールスと私のセールスデザインはとても近しいです。ほとんどと言っても良いほどクロージングをする必要がなく顧客から「それください」と言われる状態になるからです。どうしたら「それください」と言われるのか?

1)顧客を知り尽くす
2)顧客の立場に立って商品選択をする
3)商品のニーズがあるかを当てる
4)あれば紹介をする

という流れです。
なにより1の顧客を知り尽くす、ここが重要です。顧客を知り尽くすことができればプロ視点での商品選択が活きます。ただいきなり「お客様の話を伺ってA商品・B商品・C商品がおすすめです。なぜならば!」と説明を始めてしまうと売り込みになってしまうので、3のニーズがあるかを当てるというワンクッション挟むことが大切です。

例えば、(A)軽くてクッションが良い靴、(B)完全防水の靴、(C)メンテナンスフリーの靴、とプロ視点で3つの商品を選んだとしましょう。どの靴をお客様が選択するかは質問をしてニーズがあるかを確認します。ちなみにこの時点ではニーズは不明です。顧客に憑依し、販売員が勝手にABCと描いているだけなので顧客ニーズがあるわけではないです。

そこで、質問をして潜在ニーズを引き出しみましょう。
(A)長時間歩くと膝腰が痛くなったことありませんか?
(B)突然の雨で靴がびちょびちょになって不快な思いをしたことありませんか?
(C)靴の手入れが面倒で短期間で靴を履き潰したことありませんか?
と、このようにお客様の過去の体験などと紐づけてニーズがあるかを確認します。

これを”ニーズがあるかを当てる”、と私は表現しています。

顧客の潜在ニーズが引き出された瞬間は「あ〜言われてみれば確かに!」というリアクションです。このリアクションは潜在ニーズが顕在化した瞬間になります。

あとは、ニーズがあるので商品説明をすればお客様自らが「これにします」と決めてくれる、ということです。売り込む必要なんか全くないです。

反論処理はムキになるだけでいいことがない

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②反論処理

反論処理は見込み客が「うーん、ちょっと高いかな」と購買を先送りしようとした時に「間違いなくお客様に価値のある商品ですよ」と反論処理をし畳み掛けるようにセールスをかける手法です。私はこれがとても嫌いです。しかも、お客様のために反論処理をしなさい!みたいなセールストレーナーはもっと嫌いです。

私は、お客様から「うーん、ちょっと高いかな」と言われたら「そうですよね。私の力不足で価値を伝えきれず申し訳ありません」って謝ります。よく販売のアルバイトの時も謝っていましたし、独立して研修提案をしたときもどうように契約にいたらなかったら「お忙しい時間作っていただいたのに研修価値を伝えきれず申し訳ありませんでした」と謝っていました。

無理に売り込む必要はありません。これはセールスあるあるですが、お客様に反論されるとムキになって商品価値、また身の丈以上の結果を約束をしてしまいがちです。「安心してください。私が責任取ります。」「必ず結果が出ますから」みたいな言葉を言ってお客様を安心させるのですが、そんなできもしない約束をしてしまうのも反論処理の特徴です。

私は戦わないし、次に生かすことだけを考えて商談を終えます。誰も傷つかないし、私は改善というギフトをいただいたので感謝しているくらいです。

そして、事務所に帰って、「どうして契約してもらえなかったのかな?」と自問をして改善案を書き出してHPやメルマガ、資料、セールストークに反映をして徐々に成約率を上げていく努力を重ねてきました。

今日はクロージングと反論処理の不毛さについて取り上げました。いかがでしたか?畳み掛けても心身ともに消耗するだけだし、反論処理をしてムキになって血圧上げて誰が幸せになるのでしょうか。そう思いませんか?

もっと肩の力を抜いて目の前のお客様にどう貢献できるか?どう力になれるか?回答がNOだったらさっさと下がって改善して次の見込み客にアタックすればいいのです。必要以上に傷つくことを避けて気分良く営業活動することだってできるよ!と世のセールスパーソンに伝えたいです、ね。

小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社を経営している成田直人です。元ABCマートアルバイト個人売上日本一/PCデポ個人売上7か月で1億円/東久邇宮文化褒章受章/ビジネス書作家/研修講師/コンサルタント