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理科と美術と音楽がリレーして過ごす中1生の1年間❤️学校図書館が果たす有意味性

今朝のstand.fm『よみききの世界』にアップした「理科と美術と音楽がリレーして過ごす中1生の1年間❤️学校図書館が果たす有意味性」(16分)
https://stand.fm/episodes/667614293b0a5617652e870a

2024年6月21日 夏至の日、東京学芸大学附属国際中等教育学校/TGUISSに行ってきました。「何しに行ってきたの?」と言われそうですが、現在と過去と未来がつながる可能性を予感したからです。

わたくしは、今、自宅の書/倉庫のお片付けの真っ最中、特に第5次文献整理・資料に向かっており、廃棄か保存かを峻別する作業に追われています。
廃棄/王子様へお渡しするか、自宅書/倉庫に保存するかの二択ではなく、もう一つの選択肢として未来の時空間/人間(じんかん)をたくさんお持ちの方々へのプレゼントとしてお渡しするという道があることに気づきました。

しかもISS学校図書館(学校司書 渡辺有理子さん)が快くお引き受けくださったので持参したものは以下のとおりです。

2013年12月13日に、津山直樹先生(当時専任教諭)がご担当の中1の地理の時間(ふたコマ100分)、第1学年全員と「懐かしい未来との対話:ラダックの暮らしと私たち」という学びの時間を持たせていただきました。
その時、実践したDocumentationを協働エスノグラフィーに書いた作品の抜き刷り20数部ほか、その実践時に中学生と一緒に観たDVD(27分)1枚、この実践構想の原点にあった書籍1冊をお渡ししました。

① 拙稿(2017)「協働エスノグラフィー 懐かしい未来との対話:ラダックの暮らしと私たち」『ホリスティック教育研究』第20号, p1-20. このエスのグラフィー作品は、中学生・津山直樹先生・若き哲学者 福若眞人さんとわたくしの協働/coproductionなくしては出来上がらなかった作品です。
  拙稿(2015)「創作叙事詩『刹那毎に帰路に立つ』」『ホリスティック教育研究』第18号, p1-4. この「創作叙事詩」作品の解題に「創作叙事詩」とは何か、簡潔に触れてあるので、お渡しすることにしました。

② DVD『懐かしい未来:ラダックから学ぶ(ダイジェスト版)』(27分)。これは、元々55分のDVDだったのですが、学校などで使いやすいダイジェスト版を製作者の鎌田陽司さんと制作してできたDVDです。現在、多少の在庫はあるようです。

ヘレナ・ノーバッグ=ホッジ著 「懐かしい未来」翻訳委員会訳(2003)『ラダック:懐かしい未来』山と渓谷社 1冊。本書は、その後、名称を変え、『懐かしい未来:ラダックから学ぶ』懐かしい未来の本(2011年)/ヤマケイ文庫(2021年)から出ています。

①の作品は、いずれもネット上にアップしてあり、ダウンロードできるのですが、抜き刷りという紙ベースの資料のよさ、ネット環境のない場所でもページをめくりながら鳥の眼や虫の眼で読んだりすることができるので、ISSの中高生たちには自由に手に取ってお持ちいただいてもよいと考えました。

2013年12月の時のISSの中学1年生は、もう卒業してしまい、おられませんが、後輩に当たる現役中高生が当時の中1生先輩の「学びと気づきと問い」と対話する機会になればと思っています。

以上の資料をお渡ししてISSの学校図書館をお暇しようとしてところ、カバー写真のような生き物をめぐる書籍が陳列されていました。
渡辺さんのお話によると、中学1年生の理科と美術と音楽の先生方がリレーして1年間「生き物」について通年の学際的単元を設定し、中学生とともに「学びの時間」を展開されるそうです。

・中学生は理科という教科で「生き物」について学びます。【科学/構造】
・そして、その学びを継承し、美術という教科で想像上の「生き物」を作っていきます。【想像/造形】
・さらに、その学びと気づきの広がりを継承し、音楽という教科でその「生き物」の鳴き声を創作していきます。【創作/音声】
・年度末にその生き物の「科学」的知見を土台してできた「想像/造形」作品と「創作/音声」を学校図書館で展示し、同学年はもちろん、多学年の生徒や教職員に鑑賞と批評(投票)の時間を設けるそうです。【鑑賞/批評】
・これまでわたくしが存じ上げている学際的単元/Interdisciplinary Unit(教科横断型単元)は、ほぼ同時期に進行してゆくケースが多かったと思います。しかし、今回のISS校では、「通年縦断型単元」(成田)として「理科」→「美術」→「音楽」→「学習・創作・表現成果の鑑賞と批評」という流れで学びが継承されて行くようです。その継承・展開時にはリフレクション(これからを見通しこれまでを問い直す)が行われるはずですので、学びの拡張と深化の結節点が担保されるのではないかと推察しております。【学びの結節点担保
 注 【  】内は成田の予察的概念の記述です。実際の学際的ユニット・プランナーを拝見していない段階の予察に過ぎません。

昨日から今朝にかけた成田のReflection
 鑑賞する/される、批評する/される関係で終わらずに、学習/表現者と鑑賞/批評者の双方が「いかなる学びや気づき、問いを抱いたのか」共に「並進」する機会/Mutual Reflectionを行い、相互に何らかの形で記録/Mutual Documentationを残せたらいいなぁと思いました。

 「並進」については、「和英辞典を編む夢を見た!:「並進」の英訳をさらに加筆」(聴く16分)、「和英辞典を編む夢:「並進」って何?」(読むnote)をご参照ください。
 また、「並進(translation /Mutual translation /Mutual Reflection)」概念の萌芽的段階の著書ですが、拙著(2023)『物語「教育」誤訳のままで大丈夫!?-Education のリハビリ、あなたと試みる!-』キーステージ21みらい新書をごらんいただけるとうれしいです。
                成田喜一郎
                2024.6.22記

*カバー写真は、 TGUISS/東京学芸大学附属国際中等教育学校の学校図書館の「生き物」をめぐる展示書籍(撮影:成田)


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