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デザイナーを就業規則にあてはめることはできるのか。

初めて就職した会社は会員組織の運営代行会社だった。

ニッチなジャンルに対して会費を払っている人たちの個人情報を管理し、コンテンツを提供するというちょっとおもしろい業態の会社。

勢いで就職したものの、当時"ど"が付くほどの、10名未満の正真正銘のベンチャー企業。デザイナーの先輩という存在も居らず私は四苦八苦した。


なんとか仕事がこなせるようになった数年後、会社のメンバーも一気に増え、小企業が中企業規模になった頃、それでもクリエイティブチームの人数は全体数に対しては少なかった。

その頃の私は、役員や上層部からはとても大切にされていたが、自分の想いや考えがどうも回りの社員と噛み合わないことに違和感を感じていた。

改善したほうが良いことは改善したほうが良いと言う。無駄は省いて必要なことだけやる。そういった姿勢が癪に障る者もいるらしく、「昔から居る社員だから優遇されているのでは」と直接私にではなく上に直談判する者まで居たらしい。

特段それが誰だかは気にならなかった。


相変わらず社内にクリエイティブの先輩は不在だったが、知り合いのフリーランスに仕事のことなどを良く相談していた。

仕事はこなせているし大きな不満というわけではないけれど、周りと同調できなくて良いのだろうかと話すと、

「デザイナーは会社組織では浮くぐらいが普通だよ」と言われた。


当時は、いかにもフリーランス業の人が言いそうなあっけらかんとした意見だなぁと思ったけれど、結構印象に残ったようで5年以上経つ今でも覚えている。


確かにそうかもしれない。


デザインや制作の専門会社ならともかく、

バリバリの営業や事務職・お金の管理をしている人たちとデザイナーの仕事の仕方というものが足並み揃うわけがないのだ。

毎日朝から晩まで、シーンとした静かな環境で机に座っていてデザインなんて出来るわけがない。(実際残業ざんまいでそういう会社も沢山あるが)

コーヒーを飲んでボーっとしたり、映画を見たり街を歩いたり、ネットでは見つけられない資料をあさったり、人と話す中から色々なアイディアが生まれるのだ。


普通の会社の就業規則には当てはめられない。


そしてそういう見方や価値観を持つこと自体がデザイナーの仕事の背骨になるのだ。





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