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「セイバー」フルアニメーションで彩られる、異世界での少女との愛【レトロゲーム回顧録】

こんにちは!「なり」と申します。

これまで私のnoteでは、主にスクウェア・エニックス(スクエニ)に関する記事を書いてきました。
もし興味のある方は、ぜひご覧ください!

私はゲームがとても大好きです!
私のnoteでは、「ゲームやゲーム会社について、会計や財務の観点から分析する」といった内容の記事を書いていこうと思います。
しかし…そればかり続くとゲームそのものに関する記事を目当てにして来てくださった方々がガッカリすると思います。

そこで!
今回は思い切って、ゲームそのものに関する記事を書いてみることにしました!
といっても、私がやったことがあるゲームの多くはレトロゲームなんで、古い作品ばかりになると思いますが…。

記念すべき第1弾は、やはりスクエニのゲームから行きましょう!
ということで選びましたのは、エニックスの「セイバー」というゲーム作品です!
リリースされたのは、なんと1985年!今からもう40年近く前になります。
私はこの「セイバー」がとても好きで、自分のゲーム人生においても意味の大きい作品となっています。

「セイバー」については、下記のリンク先でも詳しく紹介されています。
この記事では、主にこの作品に関する個人的な思いについてお話していきたいと思います。


「セイバー」リリース時の状況

当時は8ビットPCの全盛期!

「セイバー」はPCゲーム、つまりパソコンで動くゲームとしてリリースされました。
1985年当時、当然ウィンドウズなどというものはありません。
当時のPCゲームの多くは、国産のPCで動くものでした。
多くのゲーム作品がNECのPC-8801シリーズ(以下、「PC88」)というパソコン用としてリリースされていました。他には富士通のFM-7シリーズ、シャープのX1シリーズというパソコン用のゲームがありました。

これらのパソコンは、なんと「互換性」というものがありませんでした。例えば、PC88用にリリースされたゲームソフトは、他のFM-7シリーズやX1シリーズのパソコンでは動かなかったのです。

これらのパソコンは全て、CPUの処理性能が8ビットでした。
当時のPCゲームは8ビット用が全盛期だったと言えます。
詳しくは下記のリンク先をご覧ください。

一方、PC98ユーザーにとっては不遇の時代

そんな中、NECはPC-9801シリーズ(以下、「PC98」)というパソコンも出していました。
PC98について詳しく知りたい方は、下記のリンク先をご覧ください。

1985年当時、PC98はオフィス用のパソコン、つまり「会社でお仕事のために使うパソコン」として主に使われていました。(後にPC98はゲーム用PCのスタンダードとなりますが、それはもっと後の話です)
このPC98ですが、何と!同じNECのパソコンなのに、当時のPCゲーム界では主流であったPC88のゲームソフトが動かないのです!
これはつまり、「PC98では、当時リリースされていた多くのPCゲームを遊ぶことができなかった」という訳です。

もちろん、PC88などの他の機種から、PC98用に移植されたゲームソフトもそれなりにはありました。
なので、PC98ではゲームを全く楽しめなかった、という訳ではありません。
しかし、PC98で遊べるゲーム作品は少な目でした。やはり、PC98はオフィス用のパソコンであり、ゲーム用として使われることはあまりなかったからかもしれません。

標準装備ではBGMが流れないPC98、しかし…!

さらに!
当時のPC98には、標準で音源ボードなるものがついていませんでした。
早い話、「PC98ではゲームのBGMが流れなかった」のです!
当時主流だったPC88、特にPC-8801mkⅡSR以降のパソコンであれば、FM音源というものが標準でついていました。このFM音源があれば、ゲームのプレイ中にBGMが流れてくるのです。
一方PC98の場合、プレイしていてもBGMが流れず、「シーン……」とした状態が続きます。
ハッキリ言って、これはかなり淋しい思いがしました。

その代わり!
PC98のCPUの性能は16ビットでした。
これは、PC88などの8ビット機と比べて、処理性能が高いことを意味しています。
特に初期のPC88シリーズは、画像に関する処理がかなり遅いことで有名でした。
それに比べてPC98の処理速度は、PC88などと比べてかなり速いものでした。

当時、私の家にあったパソコンはPC98でした。
このことを周囲の友人に言うと、「えっ!98持ってんの?!」とかなりうらやましがられました。
しかし、パソコンとしての性能がいいだけで、「遊べるゲームの数は少ない」「BGMが流れない」といったように、ゲーム用としてはかなり物足りないパソコンでした。

初期の「アドベンチャーゲーム」の特徴

「アドベンチャーゲーム」とは?

この「セイバー」というゲームは、「アドベンチャーゲーム」というゲームジャンルとなります。
「『アドベンチャーゲーム』って何?」という方もいらっしゃると思いますので、説明致しましょう。
アドベンチャーゲーム」(以下「AVG」)とは「ゲームの中の世界で行動することにより、目的を達成することを楽しむゲーム」です。
この説明だけだとよく分かりませんよね?

「アドベンチャー」とは「冒険」という意味の英語ですから、「ゲームの世界の中で冒険するゲーム」ということになります。
つまり、ゲーム内の主人公になり切って冒険するゲームなのです。
何のために「冒険」するのか?
それがゲームの目的となります。具体例を見てみましょう。

まず有名なAVG作品は、ハドソンの「デゼニランド」(1983年)です。
「デゼニランド」という名の遊園地に潜入して、「三月磨臼(みつきまうす)」という隠された財宝を探し当てるゲームです。
つまり、「宝探し」が目的のゲームです。この「宝探し」は初期のAVG作品によくあったテーマです。
無事に「三月磨臼」を見つけた後、主人公はでデゼニランドから脱出する必要がありますが、この「脱出」も当時のAVGでよくあるテーマでした。

「デゼニランド」と同じくらい有名なAVG作品が、同じくハドソンの「サラダの国のトマト姫」(1984年)です。
このゲームでは、主人公である「キュウリ戦士」となって、「カボチャ大王」にさらわれた「トマト姫」を救出する、というゲームです。
この「お姫様救出」といった人物救出、あるいは「悪を倒す」という勧善懲悪も、AVGによく見られたテーマでした。

当時主流であった「コマンド入力式」

アドベンチャーゲームの特徴は、ゲーム内の主人公に対して「コマンド」(命令)を与えることにより、主人公を動かす点です
初期のAVGの代表的なコマンドの与え方は、「コマンド入力式」という方法でした。これは、キーボードをカタカタ打って、単語を入力することでコマンドを与える方法です。
コマンドの単語は日本語が主流でしたが、初期の作品は英語でないとダメ、というものがそれなりにありました。
コマンド入力式は、「動詞 名詞」という形でキーボードから入力するパターンが主流でした。

具体例を先ほどご紹介した「デゼニランド」のプレイ動画で説明してみましょう。
「デゼニランド」は、「三月磨臼」という宝を探すゲームでした。
下記のリンク先はプレイ動画の1:02辺り、デゼニランドに入ろうと思っても入れなかったので、近くのロッカールームに主人公がいる場面です。

この場面では、ロッカーを開ければ先に進めそうです。
しかし、そのままロッカーを開けようとしても、鍵が掛かっており、開けることができないようです。
そこで左下を見てみると、コーラの缶のような物が置いてあります。試しにこれを動かしてみましょう。「缶を動かす」を英語の動詞+名詞の形で表すので、「MOVE CAN」と入力します。
すると、鍵が出てきました!さっそく鍵を拾いましょう。「鍵を取る」を表す「GET KEY」を入力します。
鍵を取ることができたので、ロッカーを開けることが出来そうです!早速やってみましょう!「OPEN LOCKER」と入力します。
すると…「ナンバンノ ロッカー デスカ?」と聞かれます。
「何番?ロッカーの番号?そんなの分かんないよ!」
ここでプレイヤーはどうしてよいか分からず、途方に暮れてしまいます。

ここからがコマンド入力式のアドベンチャーゲームの醍醐味なのです!
いったいどうすればロッカーの番号を知ることができるのか?
頭をひねって考えに考えまくります。
実際のロッカーの鍵を想像してみて下さい。普通ロッカーの鍵には、後でどのロッカーの鍵であったか分かるように、番号が書かれていませんか?
そこで、鍵を見てみる訳です。「LOOK KEY」と入力します。
すると!鍵には「4193バン」と書かれているではありませんか!
これでロッカーを開けることが出来そうです!「OPEN LOCKER」と入力し、
「ナンバンノ ロッカー デスカ?」と聞かれるので、「4193」と入力します。
すると、無事にロッカーが開きました!そしてそこには3万円の現金が入っていました!

コマンド入力式AVGの魅力、一方その批判

このようにコマンド入力式のアドベンチャーゲームは、各場面でどのように行動すれば良いかを考え、その行動をコマンドとしてキーボードから入力することで、先に進むことを楽しむゲームです。
特に多いのが、ある場面でアイテムを拾い、そのアイテムを使う、というパターンです。
そのアイテムの使い方も、一筋縄ではいかない工夫が必要であったりします。
また、簡単には思いつかないような行動が正解である場合もあります。その場合も、その場面での周囲の状況や、これまでに得られた情報がヒントになっていることがほとんどです。

そう、アドベンチャーゲーム(特にコマンド入力式)とはつまり、「頭をつかった謎解きゲーム」と言って良いでしょう。
場面によっては、奇想天外な行動が要求されることもあります。
しかし、頭をウンウン働かせてコマンドを入力しまくり、それが成功した時の快感は強烈なものがあります。

一方、コマンド入力式には様々な批判がありました。
「いちいちキーボードから単語を入力するのが面倒くさい」という理由もありますが、他にもあったのです。
例えば、「同じ意味の単語なのに、違う単語でないとクリアできない」という場面のあるゲームがありました(「デゼニランド」が有名です)。このため、「コマンド入力式は『言葉探し』だ」と批判されました。
また、コマンド入力式はいろんなコマンドを自由に入力できる一方、正解のコマンドがあまりにも突飛過ぎて、「正解が不条理だ」という批判を浴びることもありました(「デゼニランド」と「サラダの国のトマト姫」の、共にクライマックスの場面が有名です)。

アドベンチャーゲームの人気爆発!だが早々にブーム終息

パソコンが家庭に普及し始めた1982年~1985年頃、このアドベンチャーゲームというジャンルは爆発的な人気を得ました。
その頃の多くのアドベンチャーゲームはコマンド入力式でした。
なお、この後で紹介する「ザース」「デーモンズリング」「WILL」はいずれもコマンド入力式のアドベンチャーゲームです。

しかし、1985年頃からPCゲーム界では「ロールプレイングゲーム」(RPG)というジャンルが人気を博し、主流になって行きました。
RPGの方がとっつき易さや解きがいなどがあったなど、様々な理由が考えられます。

一方アドベンチャーゲームはというと、「一度解いたらそれで終わり」などといった弱点のために、1985年辺りから早々に衰退していきました。
特にコマンド入力式は、解きにくい上に批判も多かったため、AVGの入力方式としては採用されなくなっていきました。

「セイバー」はPC98ユーザーにとって待望の作品だった

ゲームとしての「セイバー」のスペック

さて、そろそろ「セイバー」の話に移りましょう。
これまでお話したように、「セイバー」は8ビット機全盛の1985年にリリースされましたが、何と!
「セイバー」はPC98専用としてリリースされたゲーム作品だったのです!
当時、まだゲーム用PCとしてはニーズが低いと思われていたPC98にとって、数少ない専用のゲーム作品だったのです。
このことはPC98ユーザーである私にとって、大変うれしいものでした。

これまでご紹介したAVG作品と同様、本作「セイバー」もコマンド入力式のAVGでした。
「セイバー」は英語ではなく、日本語の単語でコマンドを入力します。
例えば、木を見る場合は「き みる」とキーボードで入力するのです。
但し、入力する場合は「かな入力」を行う必要がありました。つまり、ローマ字で入力するのではなく、キー1つずつに割り当てられた「かな」を使って入力するのです。
これはローマ字入力になれた現代人にとっては非常に過酷な入力方式です。しかし当時少年だった私は、そもそもローマ字入力すらマスターしていなかたので、かな入力もローマ字入力も、労力という点で大して変わりありませんでした。何とかキーの位置を覚えながら、指一本でポチポチ入力していたものです。

そしてBGMですが、やはり当時のPC98の標準仕様に合わせて作られたためか、BGMは全くありません
いくらシーンを進めても「シーン…」とした状態が続きます(洒落ではありません)。
当時のPC88のゲームではFM音源のキレイなBGMが聴けたのに…この点はやむを得ない事情であるものの、とても残念に思いました。

「セイバー」の美麗なCGと、当時のゲームのCG事情

「セイバー」のプレイ動画はYouTubeで見ることができます。下記のリンク先をご覧ください。

現在のPCゲームのCGと比べると話は別ですが、当時のこのゲームのグラフィックはかなりきれいなものでした。
かなりアニメに近い画風で、私はとても感激したものです。
パソコンの画面上の1点を「ドット」と言いますが、このゲームは「横640ドット×縦200ドット」で作られているようです。
PC98ではさらに細かい「横640ドット×縦400ドット」で表現することも可能ですが、データ量が多くなってしまうので、640×200にしたものと思われます。

画面が綺麗なことだけでも驚きですが、このゲームの凄いところは「画面が瞬間で表示される」という点です。
「え、そんなの当たり前じゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
当時、ゲームの記録媒体として「フロッピーディスク」が主流になっていました。今では実質的に絶滅状態にありますが、当時は最先端の記録媒体でした。そのほんの少し前は、何と「カセットテープ」が主流だったのです。
カセットテープに比べれば、フロッピーディスクは読み書きの速度が段違いに早い上に、記録容量もかなり大きいので、大変便利でした。
「『フロッピーディスク』って何?」という方は、下記のリンクをご覧ください。

しかし、そんなフロッピーディスクであっても、画面を1枚まるまる収めるには、容量がかなり不足していました。
仮に画面をまるまるフロッピーディスクに入れたとしても、それを読みだして表示するには、それなりに時間が掛かりました。

このため多くのゲームでは、「ライン&ペイント」という方法を使ってグラフィックを表示していました。「ライン&ペイント」とは、「線を引いては色を塗ることを繰り返すことで、絵を描く方法」のことです。
この方法だと、「どことどこの点を結んで線を引くか」「どこの部分にどの色を塗るか」というデータがしか必要がないため、データ量がかなり少なく済みます。

具体例として、同じエニックスから1984年に発売された「ザース」というゲームの画面をご覧ください。この作品も結構有名です。(そういえば前述した「デゼニランド」と「サラダの国のトマト姫」もライン&ペイントでした)

「ライン&ペイント」と異なり、グラフィックを画面に短時間で表示する方法を「瞬間画面表示」と言います。
日本で初めて瞬間画面表示を実現したゲームは、日本ファルコムの「デーモンズリング」(1984年)と言われています。
瞬間画面表示は、グラフィックのデータを圧縮する技術と、フロッピーディスクからデータを短時間で読み込む技術などを使うことで実現されています。


当時は驚異的であった「フルアニメーション」という表現手法

このゲームの特徴は、何と言っても「アニメーション」が使われていることです。
アニメーション」とは、「絵があたかも動いているかのような表現」のことです。
部分的なアニメーション表現を使ったゲーム作品であれば、この「セイバー」よりも前にありました。
有名なところでは、スクウェアの「WILL」(1985年)が挙げられます。(これもスクエニの作品と言えますね)
ゲームのオープニングで「アイシャ」というキャラクターの瞬きを見ることができますが、このシーンがかなり話題になりました。
この程度のアニメーションでも、当時のパソコンの性能を考えれば、かなり凄いことだったのです。


それがこのセイバーでは何と!部分的なアニメーションだけではなく、「フルアニメーション」が使われているのです。
フルアニメーション」とは、「絵の全体が動いているかのような表現」のことです。
下記リンク先は、上記の「セイバー」のプレイ動画の6:40の辺りですが、ここでオフェーリアという少女が振り向くシーンを見ることができます。

当時、このシーンを見た私は猛烈に感動しました。
何しろ、まだまだライン&ペイントによるグラフィック表現が多かった上に、瞬間画面表示ですら凄いと言われていた時代です。
そんな時代にこのフルアニメーションは「ありえないほど驚異的な表現」だったのです。
これはまさに、「PC98という高性能パソコンであったからこそ実現できた」と言っても過言ではないでしょう。
ゲーム面では恵まれなかったPC98に、ようやく光が差してきたのです!
「家にPC98があって良かった…!」このシーンを見て、当時の私はしみじみと思いました。

さらに驚くべきは、この美しいCG、驚異的な技術が使われた「セイバー」を作ったのは、なんと高校生だったということです。
当時のエニックスは、自社に開発スタッフを抱えていませんでした。その代わり、社外の人たちが作ったゲームを販売していたのです。
当時少年だった私はPC98でゲームを作っていましたが、自分よりもちょっとしか年齢が離れていない人たちがこんなにすごいゲームを作っただなんで、とても信じられませんでした。

時を超えたロマンを感じる秀逸なストーリー

初期のAVG作品(1982年~1984年頃)は「宝探し」や「脱出」などが目的のゲームが多く、パズルのような謎解きを繰り返しさせるだけのものが主流でした。
一方、ゲーム中のプレイを通じてストーリーを味わってもらう、というタイプのAVGはまだまだ少数派でした。

しかし、1984年の「ザース」辺りの作品から、ストーリーを重視したAVGが作られるようになりました。
単にパズル的な「謎」を解くだけでなく、ストーリーの起伏を味わったり、ストーリーに秘められた「謎」を解き明かす過程を味わう作品が増えていきました。

「セイバー」もその流れに乗った、ストーリー重視のAVG作品でした。
今の目の肥えたゲームプレイヤーが見るとどう思うか分かりませんが、当時まだ少年であった私にとっては、「セイバー」は非常に優れたストーリーを持つAVG作品でした。

詳細は既にご紹介したプレイ動画を見て頂くとして、本記事では見どころをさらっとご紹介していきます。
なお、ここから後はある程度のネタバレがありますので、見たくない方はご注意願います!

少女オフェーリアとの出会い

ある日、主人公のしんじは東京の森を散歩していました。
するとしんじは、木の下にペンダントが落ちているのを見つけました。
しんじがペンダントを拾うと、ペンダントが光り出し、なんと一人の少女が飛び出してきました!

図1 ペンダントから飛び出した少女

「私はアルカス王国の王女、オフェーリア。あなた方の異次元に当たる世界の者です。」
「私は、私の父レグルス王を裏切り、アルカス王国を乗っ取ったザラスによって、このペンダントに魂を閉じ込められてしまいました」
「どうか私と共にアルカス王国を救って下さい。お願いします。」

「セイバー」本編

私はこの手の「手のひらサイズの少女」が出てくるゲームや漫画が何だかんで好きでした。
手のひらサイズというだけでいたいけな感情が湧いてきますが、その少女が一国の危機のために、あなたに救いを求めているのです。
しかもその少女の容姿は何とも可憐で美しい!
「すごく可哀そう!何とか助けてあげないと!」
理屈やら何やらはすっ飛ばして、オフェーリアを救いたいという気持ちでいっぱいになります。

異世界に飛ばされたしんじ、そしてオフェーリア復活

するとしんじは突然、次元の谷間に突き落とされ、アルカス王国に来ていました。
気が付けばリヤラという老婆の小屋にいました。
リヤラは安楽椅子に揺られつつ、しんじに語り掛けます。

図2 謎の老婆の小屋にやって来た

「お前、この国のオフェーリア姫様がザラスという男にペンダントに魂を閉じ込められてしまったのを知っておるだろう?」
「彼女を助けるのじゃ。お前はそのためにこの国に導かれてきたのじゃ。」
「それがお前の運命だから…」

「セイバー」本編

唐突に異世界に飛ばされた挙句、オフェーリアを救うことが「運命」だと言われました。
「何のことだか分からない」と混乱するのも当然ですが、実はこのセリフが大きな伏線となっていきます。

何だかんだでしんじは、魂が抜けて亡骸となったオフェーリアが祭られている神殿にやってきました。
どうすればオフェーリアの魂を戻すことができるのでしょうか?
実は、これまでのゲーム中のメッセージに、ザラスがどうやってオフェーリアの魂をペンダントに封じ込めたのかが、何回か書かれていました。
それと同じことをすればいいのです。

図3 オフェーリア復活!

みごと、オフェーリアは復活することができました!
私が猛烈に感動したという、オフェーリアが振り向くフルアニメーションは、このシーンだったのです。
右横の小窓に映っているオフェーリアの笑顔がまぶしいじゃないですか。
右横の小窓には基本的にオフェーリアの姿が映っていますが、時々瞬きのアニメーションをするなど、視覚的な演出が行われています。


突然のザラス出現と、カストリウス伝説の謎

そんなこんなでアルカス王国をさまよっていると、しんじは突然ザラスに出くわしました!
そしてザラスはこともあろうに、しんじを宇宙空間へ転送したのでした!

図4 しんじ、宇宙空間へ転送される

どうやったらこの窮地を脱することができるのか?
この場面は本作でおそらく一番難しい謎解きだと思います。
確か当時、私はこの場面を独力でクリアできたと思います。クリアできた時の達成感は強烈なものでした。

何とか窮地を脱すると、突然目の前に老人が現れました。
老人はしんじに対して、このように語り始めました。

図5 謎の老人が語り始める

「ところでお前はカストリウス伝説を知っているか?」
「カストリウス伝説にはこういう予言が残されている。」
「再び危機が訪れる時、意思の力が異国より若者を呼び寄せ、その者に全てを託し、勇者の魂を復活させるであろう。」
「お前はその魂を受け継ぐべくして、このアルカス王国へ導かれて来たのだ」

「セイバー」本編

その後、小屋にいたリヤラ婆さんに会いに行くと、次のようなことを話してくれました。

「お前は勇者カストリウスの意思により、勇者の魂を受け継ぐ者として選ばれたのじゃ」
「私はカストリウスに選ばれた者が現れるのを待っていた。」
「ザラスはお前が自分にとって危険な人物だということを気が付いたはず…。」

「セイバー」本編

すると突然、リアの小屋に火が放たれ、燃え始めました!
早く逃げないと!
ところが、リア婆さんはなぜか逃げようとしません!

図6 炎に包まれるリア婆さんと小屋

「いいや、わしの役目は終わった。そろそろ私は彼のもとへ…。私を愛してくれた男のもとへ…。」
「しんじという男のもとへ…。」
「わたしの名は…オフ・・ェーリ…。」

「セイバー」本編


勇者となったしんじ、カストリウス伝説の謎を悟る

その後カストリウスの墓に行ってみると、しんじの姿が変わり始め、勇者のような出で立ちとなりました。

図7 勇者しんじの誕生

するとどこからともなく、先ほど会った老人の声が聞こえてきました。

老人「しんじよ。私はお前にこの国の運命を託した。」
しんじ「やはりあなたがカストリウス…いや、もしかしたらぼく自身…。」
カストリウス「そうだ、イオの世界から来た勇者カストリウスとは、お前自身だ…。」
カストリウス「ただ、わたしは2005年のイオの世界から来たのだがな。」
カストリウス「そしてお前に、いや自分自身に我が魂を託し、アルカス王国の未来をまかせた」
カストリウス「私の魂は永遠に滅びず、受け継がれていくのだ…。勇者カストリウスとして…。

「セイバー」本編

「イオ」とは我々の住む地球の世界のことです。
どうやら、アルカス王国が危機を迎える度に、それを救済すべくイオの世界から「しんじ」が呼び出され、勇者カストリウスとなってアルカス王国を救う、ということなのです。
その「しんじ」役となる人は、魂が輪廻転生することで、時空を超えてあらゆる時代に存在しているのです
そして、「オフェーリア」役となる女性も同様に、時空を超えて存在しているのです。
当時少年だった私は、この時を超えた壮大なロマンに非常に感動したものです。


オフェーリアとの愛、そしてザラスとの対決へ

その後しんじは、各所でトラブルに見舞われながらも、ザラスを倒すべく冒険を続けました。
そして、2005年の世界から老人が持ってきた、「ガルス」という名のモ〇ルスーツ…もといロボットを発見します。

図8 ガルス、大地に立つ

この「セイバー」という作品は、基本的にファンタジーの世界観を題材にしていると言えますが、このロボの出現といい、時空を超えた世界観といい、どうしても「SF」というイメージを抱いてしまいます。

このガルスに乗って、しんじはただ一人、ザラスの討伐に向かいます。
最悪の場合、しんじは命を落とし、オフェーリアとは二度と会えなくなるかもしれません。
戦いを前に、しんじはオフェーリアを抱擁し、熱い口づけを交わすのでした。

図9 いつの間にか愛情が芽生えていた二人

単身で敵地に向かったしんじは、遂にザラスとの対決を果たします。
しかし勇者となったしんじであっても、ザラスは相当に手強い相手でした。

図10 ザラスに窮地に追い込まれ、絶体絶命のしんじ

ここで、とあるアイテムを持っていないとザラスを倒すことが出来ません。
そのアイテムを使うことで、しんじはザラスを倒すことができました。

図11 ザラスの断末魔


オフェーリアとの別れ、そして感動のエンディング

しんじは見事、アルカス王国を救うことができました。
アルカス王国の人たちは歓喜に湧きました。
しかし、しんじは元いた世界に戻らなくてはなりません。
愛し合ったしんじとオフェーリアの二人は、離れ離れとなるのです。
オフェーリアは悲しみのあまり、涙しました。
このシーンは本作でも特に有名であり、アニメーションによる演出が用いられています。このシーンは、当時の雑誌広告によく載っていました。
このシーンですが改めて見てみると、「画像が縦に長くスクロールする」という演出は当時ではかなり珍しく、技術力の高さがしのばれます。

図12 悲しみの涙がオフェーリアの頬を伝う

この後、本作はエンディングを迎えるのですが、当時私はこのエンディングにとてつもない感動を覚えました。
確か、解き終えた時間帯が深夜だったこともあって、ランナーズハイも手伝い、たまらない高揚感に包まれました。
エンディングの内容を知りたい方は、ぜひプレイ動画をご覧ください。
色々意見はあると思いますが、当時少年だった私にとっては、感動的な名エンディングだったのです。

おわりに

いかがでしたでしょうか?
この「セイバー」という作品が、技術の面でもストーリーの面でも、当時としてはかなり優れた作品であったことが、お分かり頂けましたでしょうか?
このような素晴らしい作品が高校生によって作られたとは、とても信じられません。
今の目の肥えたゲーマーにとってみれば色々意見はあると思いますが、個人的には永遠の名作です。

こんな感じで、時々レトロゲームに関する記事を載せていきたいと思っています。
またの機会をお楽しみください!
以上、「なり」がお届けしました!

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