海外旅行でケンタッキー食べるとかあり得ない、とも言えない、っていうか逆にあり。

海外旅行に行ってわざわざケンタッキー食べる人がいたら、旅行の楽しみの半分をドブに捨ててるようなもんだと思っていたときが、僕にもありました。

でも一周まわって逆にあり、ということに気づき、どうしてもそのとこを伝えたくなったので、書きます。

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大学3年生のころ、一年休学して世界一周したいと思い立ち、筆跡でバレないように父親の名前を書き、100均でハンコを買って休学申請書を捏造したことが昨日のように思い出されます。

学部の教授に認めてもらえるよう覚えたてのWordで旅程を作ろうとしたのですが、とりあえず世界一周することしか考えてなかったので、大体の日付と国名を羅列しただけの中身のない2枚のスカスカのA4コピー用紙が印刷機から出てきたときの情けなさと言ったらもう。。

その教授に、「うちの研究室に来たら学会発表で海外に行くチャンスがあるよ」と言われ、一緒に休学しよう！と言っていた高校の同期を見捨ててあっさりと休学を諦めました。　

時はながれて2年後、、

大学院1年生の夏休みに、僕とその友人はタイの空港に降り立ちました。

3週間の東南アジアバックパックの始まりです。

海外旅行は、韓国に2泊3日で行っただけ。モワッとする空気も、ジメッとする路地裏も、ギラっとする歓楽街も、全てが新鮮に感じられました。

せっかく海外に来たのだから、とご飯は全て現地フード。

パッタイ、カオマンガイ、ガイヤーン。

今思えば全部東京で感じられるのですが、そのときはやっぱ本場は違うな、と体全身で五感全開で東南アジアを味わっていました。

タイには僕たちと同じように、東南アジア初心者の、でもリゾートじゃなくて現地の雰囲気を味わうちょっとした気概を持った人たちがたくさんいました。

ある日、象と遺跡で有名なアユタヤ地域に行くための鉄道で、同い年ぐらいの日本人と乗り合わせました。

東南アジアに来た理由も、行こうとしているところも、日程もほぼ同じ。

違うのは、ご飯の楽しみ方だけでした。

彼はなんと、ひたすらケンタッキーやマクドナルドなどの世界ファストフードチェーンを食べていたのです。

理由は、美味いから。

僕は驚愕しました。

なんでわざわざこんなところまで来て、どこででも食べられるものを食べるのかと。

アスカラングレー的にいうと、「あんた、バカぁー？」です。

でも、僕が間違っていました。

ケンタッキーは、本当に美味しいのです。

時はながれてさらに2年後、、

僕はカタールにいました。

プラント建設現場で工事監督をするために渡航してきたのです。

夏は気温50℃、湿度80%にも達する灼熱の土漠。仕事も毎日日の出前から深夜までやっても終わらない。

そんな環境の中でも、国籍も、人種も、宗教も、肌の色も違う人が集まり、完工に向けて、ある時は情熱的に、ある時は黙々と仕事をするのは、本当に楽しかったです。

チームを一致団結させるのは、ところ変われど美味しいご飯。

日本ならアルコールの力を目一杯借りてどんちゃん騒ぎをすればあっという間に関係構築出来そうなのですが、ここは中東。宗教が異なるので食材も制限されます。

そんなとき、絶大な役目を果たしたのが世界のケンタッキーフライドチキンでした。

牛肉や豚肉がダメでも、鶏肉なら宗教上の制限は少ない。

幸い僕のチームにはベジタリアンやビーガンはいませんでした。

偉い人の愚痴を言いながら、次の休暇でやりたいことを話しながら、みんなでフライドチキンを頬張り、コーラを流し込む。

最高のチームビルディングでした。

そして、これがまた美味いのです。

大学で初めて海外に行ってから、東アジア、東南アジア、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアなど、いろんなところに行ってきましたが、中東の鶏肉は特別美味しいと思います。

同じレシピで作っているはずのケンタッキーでさえ、シチュエーションの効果を差し引いてもやっぱり美味しかった。

旅好きの同期曰く、エジプトの鶏肉も本当に美味しいらしいです。

ここまで、こんな駄文を読んでいただいた皆様に感謝しつつ、質問をしたいのですが、、

今、あなたが食べてみたい、と思っているのは、パッタイやカオマンガイやガイヤーンでしょうか？それともカタールのケンタッキーフライドチキンでしょうか？

多分、いや、相当な確率で、ケンタッキーフライドチキンなはずです。

人は、想像しにくいけどもしかしたらすごいものよりも、ちょっとすごいことが想像しやすいものの方を好む、生き物だと思うんです。

だからこそ、よく分からないパッタイやカオマンガイやガイヤーンよりも、食べたことがあるケンタッキーよりもさらに美味しいケンタッキーの方に心が動く。

ということは、海外旅行に行ったときには、現地フードを食べるのもいいけれど、帰ったときに土産話にできるような有名チェーンでも食べておいた方が、当日も帰国後も二度美味しい、ですよね。

これは大発見だ！と思い、筆をとりました。

気軽に海外旅行に行ける日が、早く戻ってきますように。

最後まで読んでいただきありがとうございました。