多様性への対応は統一化か個別実装か

うちの会社は、すべての人が対等に働ける社会の実現をミッションに掲げており、まず隗より始めよ、ということで就業規則や働き方に関してはかなりこだわりを持っています。

全社員が参加するイベントは全てオンライン(リモート)にしたり、担当業務はキャリアや志向から逆算して決めたり、といった具合に。

これらは自分がこれまでサラリーマンを続けてきた中で感じた、苦しみ、怒り、焦り、悩みといった負の感情とその根っこを、制度や仕組みで解決できないものかと考え抜いた末に作ったものです。

ですが、制度や仕組みに唯一絶対の形はなく、日々、実践を通してアップデートをし続けています。

本エントリでは、最近琴線にぽろんと触れた出来事と、その結果としてアップデートされた多様性への考え方を紹介します。

落合陽一氏が障害支援で大事にしていること

うちの会社はどこがユニバーサルでどこがレスポンシブであるべきなんだろう。

NewsPicksの名物番組 WEEKLY OCHIAI で落合陽一さん、平井前デジタル相、石倉デジタル監が対談を聞いてふと思ったことです。
 
ユニバーサルデザインとは、あらかじめ、障害の有無、年齢、 性別、人種等にかかわらず多様な人々が利用しやすいようデザインする考え方のことで、
 
レスポンシブデザインとは、ユーザーが使用するデバイスに応じて表示を最適化するデザインのことです。

番組の中で、落合氏はユーザーインターフェースについてこんなことを言っていました。

情報サービスの一元化や管理基本方針を考えていくところで、標準化や統一化をしていかないといけないときに、統一化って難しくて誰目線で統一化するのかとか、人によって違うようなインターフェースとして実装されていくのかとか、いろんな考え方があると思うですけど、、

(中略)

統一化という言葉を使ってしまったことが良くないと思っていて、僕(落合氏)だったらレスポンシブル(人によって変わる)とか使うんですよね。

(中略)

僕はよく障害支援の話をするときに、ユニバーサルデザインという言葉は実は結構おかしくて、iPhoneの形とか、スマートフォンは結構ユニバーサルだと思うが、その上に乗っかってくるインターフェースってインクルーシビティの方が重要で、ユニバーサルなアプリじゃないわけじゃないですか。みんなつかってるアプリがバラバラだったりとか、形が多様なものを使っているわけで。そうしたときに、どこまでがユニバーサルで、どこから先がインクルーシビティのための個別実装なのかっていう議論は常に大切だなと思っているので、、、、

誰一人取り残さない、というスローガンはデジタル庁ではなくSDGsがその発信源ですが、システム開発以外でもよくよく考えて落とし込まないといけない概念だと思うのです。

落合氏は「SDGsは現代の575」と表現していましたが、ビジネスにおいてもはや避けては通れないSDGsという型の上で、自分たちのオリジナリティをいかに表現するかが問われています。

それを無視する企業は、俳句甲子園で短歌を詠むようなものなのです。

会社の仕組みにこれを落とし込むとどうか

で、です。

これまで自分たちがやってきた多様性のための施策が、ユニバーサルとレスポンシブのどちらに当たるのかを考えてみようと思いました。

ユニバーサルなものとしては、
■ 就業規則全般(休職、退職金、年次休暇、給与、特別休暇などは、性別、政治、価値観、勤続年数など直接的に業務に関係のないことで差が出ないようにしている)
■全社員が参加する会社の公式イベントはリモートを前提としたオンライン開催(外出しにくい人、遠くに住んでいる人でも参加できる)
■ 朝礼なし(朝が苦手な人、朝食の準備や保育園への送迎などで決まった時間に始業することが負担になる人がいる)

レスポンシブなものとしては
■担当業務はキャリアプランや志向から逆算して決める
■フリー雑談(雑談したい人は業務時間中にオンラインで集合してやってOK)

こんな感じです。

改めて見返してみると、レスポンシブなものが少し欠けているような気がしています。

これは、管理側の論理ですが、仕組みがユニバーサルであればあるほど管理コストが低くなるため、どうしてもユニバーサルに向かう力学が作用してしまっていると思います。

実際に、自分のリソースの投下先は大半がレスポンシブな対応の方です。

まだ会社を設立して1年も経っていないため、ユニバーサル部分がどうあるべきなのかをみんなで話し合って決めている段階なのですが、同時にレスポンシブ部分をどうすればもっと充実させていけるのかも考えていかないといけないと思いました。

従業員の反応は?

と、いう話を役員や従業員にしたところ、役員の方はほうほうなるほど、という反応だったのに対し、従業員の方は下記のようにいろんな反応がありました。

ユニバーサルデザインは「誰でも使いやすくすること」、レスポンシブデザインは「より使いやすくすること」だと感じた。感じ方はひとそれぞれ異なると思う。
ユニバーサルデザインで優れたものが出てきたときに賞とかを取っているが「これこそユニバーサルデザインだ」というものを作るのは難しいことだと思う。変えようと思えば変えられるものなら、その時その時での最適解を探していける。どちらも発展しながら開発する余地があると感じた。
ユニバーサルデザインかレスポンシブデザインかをはっきり分かれさせないといけない印象を受けるが、グレーゾーンもあると思う。あくまでも働きやすさ、使いやすさの向上が目的なので、そこまで意識しなくてもいいのではないか。
ユニバーサルデザインは前から聞いたことがあるが、レスポンシブデザインは初めて聞いた。ユニバーサルデザインの延長にレスポンシブデザインがあるのかなと思った。

どれも、たしかに。と思わせられる意見ですが、「なんか小難しいことを言っているけど要は働きやすいってことが大事。」という(風に聞こえた)意見が一番刺さりました。

いやあ、おっしゃるとおりです。

今後も働きやすい職場を目指して、日々考えをアップデートしていきたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が参加している募集

#SDGsへの向き合い方

14,687件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?