ショートショート「ただそれは僕のためでもある」

人生なんてと悟っていた。
こんな人生なんて、死んだ方がマシだと思っていた。
楽しいことなんて何もないし、金もない、夢もない。
何のために生きているのかわかんなくなっていた。
もう、死んでやろう。

そんな覚悟、これっぽっちもなかったことに気がついて、勝手に涙が溢れてきた。
生きるという選択肢しか選ぶことが出来なかった。
これを絶望と呼んでいた。
本当の絶望を知らなかったから。

君に出会うまでは。

君に出会って、生きることがこんなに素晴らしい事を教えてもらった。
生きるという選択しか出来なかったが、死ぬ覚悟の無さに感謝した。

もう

君はいないけれど、貴女と出会って知った感情と君のいない絶望の中で、僕は生きていく。

貴女のために。

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