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【雑文】リアルとネットの本と書店について

一番好きな「お店」といったら、本屋を挙げる。

しかし今自分が住んでいる地域は、一応書店はあるのだがなんというか残念なもんで、行く意味を感じさせない”店づくり”だ。
大学時代、神保町にある素敵な三省堂書店に阿呆になるほど通っていた自分からすると厳しい環境である。

リアル書店が好きといっても、特にリアル本にこだわりがあるわけではない。なんなら長い小説や漫画は、購入するならば電子書籍の方が普通に良い。直近10数年間に10回以上引越しをしている身からすれば、かさばらずにいつでもどこでも読める電子書籍の方が当然助かる。

とはいいつつも、リアル本で読んだ方が良い書籍もあるだろう。
見開きで見た方が読みやすい場合や、装丁にこだわりがある本などはリアル本でしか味わえない。
中身でもそうだ。つい最近、遅ればせながら「世界でいちばん透きとおった物語」(杉井光 著・新潮社)という小説を読んだ。
リアル本でしか体験できないことがとても面白かった。もしまだ読んだことがない人がいたらネタバレになるので抽象的に”とても面白い”と言うだけにとどめたい。


”リアル書店には、ネット書店では経験できない本との「偶然の出会い」がある”
この言い草は、リアル書店とネット書店の比較でリアル書店の方が優れていると書かれる際によく使われるフレーズだが、ぼくはそう思わない。
ネット書店にも「偶然の出会い」があるではないか。その人はAmazonで本をブラウジングしたことがないのかもしれない。まだ見たことのない面白そうな表紙とタイトルが画面上に出てきてそそられた経験がないのだろう。
Amazonはレコメンド機能もやはり優れていて、この本も読んでみたい、といった気持ちの流れによく乗せられる。ちょっと効きすぎていると感じるときもあるが。
少なくとも、自分が今住んでいる地域の書店よりは、ネット書店の方が桁違いに世界が広がっていて偶然の出会いを感じさせる。
ネット書店で偶然に出会えないのは、ブラウジングの仕方の問題、あるいはその人が個人的にネット書店を批判したいがためなだけと思っている。

リアル書店の魅力は、大規模書店だと、それぞれのジャンルの品揃えが一目で見て豊富なために、自分の探していることが言語化できていなくても自分に合った本を見つけやすいことと思う。ネット書店だとスクリーンサイズに入るくらいの表紙とタイトルそしてページスクロールできる長さに制限されるが、リアル書店では目でパッと一瞬で見て得られる情報量が多い。もしVR技術が今よりも遥かに進んで、違和感なく3D本棚をパッと見て立ち読みできて購入までできるようになれば話は変わってくるが、身体の触覚レベルまで違和感ないように作るのはまだまだ難しい。

大規模書店には実質全てのジャンルの書籍が置いてある。科学、工学、デザイン、芸術、小説、経済、ビジネス、娯楽、雑誌、漫画、絵本、、そしてそれらの洋書。大学時代によく行っていた神保町の三省堂書店の品揃えは圧倒的で、大学のキャンパスにいた時間より長く居た空間だった。(社会人になってからは、MARUZEN & ジュンク堂書店渋谷店によく会社帰りに立ち寄っていたなぁ。。)

小規模なリアル書店は、書店によって好き嫌いが分かれる。小規模なのに大規模な書店と似たようなスタイルで本が置いてあると、当然ながら売り場面積の上限があるため品揃えに深さが全く出ておらず、本を探す楽しさの欠片もない。やはり小規模な書店は、大規模書店にはない方法で書籍が置いていないといけないはずだ。もちろんイベント開催や書籍以外の何かと掛け合わせて展開することで独自性は出るだろうし魅力につながる。

とまあリアル書店とネット書店のあれこれを行ったり来たりしたが、個人的にはどちらも好きで重要である。書籍のブラウジング時や購入時や読書時に優れた環境を提供している企業がこれから生き残っていく話である。

小泉成文


大好きな横浜名物シウマイ弁当を食べる時、人生であと何回食べられるんだろう。。と考えます