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私が通っていた高校

私は2017年の春から3年間、千葉県立津田沼高等学校に通っていた。

津田沼高校には県内で唯一の音楽コースがあり、生徒たちは2年生に進級するタイミングで文理コースと音楽コースに分かれる。音楽コースを選んだ生徒は2年間にわたり、一般科目に加えて専門的な音楽の授業を受けることができる。

私は中学生の頃から音楽大学に進学したいと考えていたため、この高校に入学して、2年生から音楽コースに進んだ。

音楽コースには技能を問わず誰でも入れるので、同級生の中には音楽初心者もちらほらいた。しかしその一方で、コンクールで全国に行くような生徒も在籍していた。今思えば、このまぜこぜ感も音楽コースの特色だったのかもしれない。

音楽コースにはいろいろな授業があって、新曲視唱、聴音、楽典などの音大入試科目に加えて、弦楽や声楽の授業もあった(いずれも週1時間)。私は当時から座学は得意だったので、楽典の成績だけは良かった。東京藝大の難しい聴音課題を「???」と思いながら解いていたのも懐かしいなあ。あとは、弦楽の授業でチェロを弾かせてもらったことなんかも、良い思い出だ(週1時間なので最後まで初心者だったけれど)。教えてくださった先生方も、皆やさしくて好きだった。
しかし、やはり初心者もいるクラスなので授業のレベルはそこまで高くなく(聴音の授業だけはクラス分けされていたが)、音大進学を目指している生徒は皆、授業をあくまで自分が師事している先生のレッスンの補助輪と位置付けていたように思う。

また毎年11月には生徒選抜の演奏会があって、私は2年生のときにバイオリンとピアノのアンサンブルで参加させてもらった。私はピアノを弾いたのだが、相方はクラスで一番バイオリンの上手な生徒だったので、今思うと非常に申し訳ない。

音楽以外のこと

当時、音楽コースは女子生徒が8割以上で、音楽コースの教室だけほぼ女子校状態だった。そのため教室が「男子」と「女子」に分かれる、というようなことがほとんど起こらず、とても居心地が良かった。このことは、当時から自らのジェンダーアイデンティティの揺らぎに苦しんでいた私にとって、大きなメリットだった。

音楽コースのデメリットは、時間割に音楽科目を入れる都合上、他の科目が削られるということである。私は最終的に一般の国立大学を受験することにしたので、数学を独学する羽目になった。また周りの生徒の学力や勉強に対するモチベーションもあまり高くなかったので、全体的に一般科目の授業レベルは低かったと思う(おそらく文理コースも同様だが)。

でも本当に、あの2年間、私は私に無いものをもっている同級生たちに囲まれて幸せだった(当時は気づかなかったけれど)。今でもみんなのことを尊敬しているし、応援している。

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