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千葉市美術館(千葉県千葉市・葭川公園駅)

とても面白い形をしている千葉市美術館。こちらは川崎銀行の千葉支店として使用されていた歴史的建造物を生かした美術館として作られ、そちらの建物を残す形で覆うように建物を建設するという「鞘堂方式」によって建てられたものだからだという。実際に美術館の中に入ると「さや堂ホール」という広い休憩スペースがあり、当時の銀行の名残を感じることができる。そういえば佐倉市立美術館も同じような作りをしていた。あちらも川崎銀行。ゆかりがあるのだろうか。

https://www.ccma-net.jp/

企画展として「とある美術館の夏休み」と題して「日常と非日常のあわい」をテーマにした作品群を揃えている。現代アートの作家が多く個人的にあまり知らない人物が多かったのだけれど、その作品の折々にあわせて伊藤若冲や鈴木春信といった大家の作品も展示されているためバラエティに富んだ構成となっている。現代に連なる作家でも荒川修作や赤瀬川原平、マルセル・デュシャンや瀧口修造などもしっかりと登場するため現代アート黎明期に活躍した彼らの創作への情熱を浴びることができる。

さや堂ホールは圧巻

展示室は8階と7階の順路。かなり広い。一つ一つの作品をじっくりと観ていると意外と時が経つのが早いというボリューム量。特に印象的だったのは河原温のDATEシリーズに触発された書道家の華雪による「日」をひたすら綴った展示、デザインに一貫性がなくなんの価値も見出さなそうなバッヂを並べた山野英之による「クソバッヂ」、匂いと記憶をテーマに「人混みの匂い」など独特な匂いを調合して実際に嗅ぐことができる井上直子「記憶の鼻腔」シリーズといったもの。後半における体験型の展示になると味わい深い。

企画展 かなり広くユニークな作品が並んでいる

さらに階段を降りた5階では常設展示室がある。浜口陽三・南桂子夫妻のそれぞれの版画や、岡本秋暉、渓斎英泉、谷文晁といった画家による日本画の中でも鳥や虫に焦点をあてた作品が並んでいる。奥の展示室では小原古邨の錦絵が展示されているなど近世の作品をしっかりと網羅している。最後は秋岡美帆という画家の特集。トイレはこちらも洋式。千葉県はウォシュレット式が無いのが興味深いところ。

常設展示室も入れ替えが多いらしい

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