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市川市文学ミュージアム(千葉県市川市・鬼越駅)

市川市は文学の町である。東京都から近いこともあって多くの文人が市川に居を構えて作品を生み出した。そんな市川市にゆかりのある文人たちを中心に紹介する市川市文学ミュージアムは、鬼越駅からニッケコルトンプラザへと向かい、そこに隣接するメディアパーク市川の中にある。中央図書館が併設されている建物で、今回は企画展としてしかけ絵本の世界を紹介している。

企画展の展示室は奥にあるためまずは手前になる常設展示から。常設展では市川市にゆかりのある作家をジャンル分けして紹介している。映画の分野では脚本家の水木洋子、演劇の分野では井上ひさし、小説では永井荷風、詩歌では北原白秋、草野心平、水原秋櫻子、与謝野晶子、宗左近といった面々が、ある者は終生の地として、ある者は一時的な住まいとして市川市を選んでいる。

ミュージアムは撮影NGなので代わりにメディアパーク市川の内装をお楽しみください

興味深いのは評論家の数の多さ。文芸の分野において評論家では小島貞二、正岡容、山本夏彦、式場隆三郎、中野孝次らが名前を連ねている。都内にある中央の文壇から程よい距離にあることが活発な評論を生んだのだろうか。他にも小説家の幸田文(彼女の父である幸田露伴の終生の地でもある)、写真家の星野道夫、絵本作家の梶山俊夫といった面々がやはり市川市に居を構えている。住みやすい町だったのかもしれない。

ミュージアムは撮影NGなので代わりにメディアパーク市川の内装をお楽しみください

次に企画展の展示室へ。今でこそ絵本など子供向けのものが多いしかけ絵本のスタートは意外にも研究書から。立体的に見られるものとして重宝されたという。子供のためのしかけ絵本として最初に知られているのは18世紀のロバート・セイヤーによる『マブ女王とアルルカンの芸当』で、その後『着せ替えパウル』や『ガイ・フォークス』といった仕掛け絵本が19世紀に誕生している。

ミュージアムは撮影NGなので代わりにメディアパーク市川の内装をお楽しみください

しかけ絵本の技法にはいくつかの種類があり、それらもジャンル分けして紹介している。ピープショ、展開型、劇場型、メリーゴーランド、音の出る絵本、ポップアップ、プルタブ式、スプリットブック、フラップ式といったものがその代表的な者である。日本では騙し絵のようなものだったり、しかけ絵本というジャンルの一端として本を双六盤にする、といった試みも残されている。

記念撮影できるよやったね

よく知られる童話をしかけ絵本で彩ったという背景も見逃すことはできない。絵本の技法を生かしたしかけ絵本づくりは童話との親和性が高く、多くの童話がしかけ絵本として生まれ変わっている。会場にはそれらしかけ絵本を実際に閲覧できるスペースも用意されており、親子連れが多く見受けられた。トイレは和式と洋式。

建物外観も要塞みたいで格好いい

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