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ピラミデビル(東京都港区・六本木駅)

六本木はアート発信地としてムーブメントが沸き起こっているエリアの一つである。新国立美術館、森美術館、サントリー美術館といったアートトライアングルに加え、21_21デザインサイトやTOTOギャラリー間など多くのミュージアムがあり、徒歩数分の中で最先端のアートを浴びるのにはもってこいの場所。
その中にあって多数のギャラリーを擁しているピラミデビルは六本木ギャラリー巡りにあたっては必須ともいえるべきビルで、10以上に及ぶギャラリーが入っており、現代アートに触れるのに恰好の場所。今回は開催していた展覧会を全て回ることに。トイレはウォシュレット式。

・PERROTIN
ハンス・アルトゥングの展覧会を開催している。抽象画の先駆者としてかなり前衛的な作品を早いうちから打ち出していた作家の一人。奥の部屋では収蔵品展示として五人の作家による作品を展示。一見するとランダムに見える作品たちだがおそらく花をテーマにした作品を集めたのかもしれない。

圧倒的な抽象

・TARO NASU
田島美加の作品を展示している。振動や熱源によって形を変える流動体や光の入り方によって発色が変化して行く塗料を有用に使った絵画、ガラス作品など、作品の中に科学的要素を取り入れた作風が目立つ。気になったのは鐘の音を波形にしたものを絵画として描いたというもの。でかい。部屋に飾れない。

ブルブル形を変える流動体


・SCAI PIRAMIDE

アーニッシュ・カプーアの作品を展示している。地上で最も黒い黒Ventablackの芸術的用途における権利を買い取った人物として物議を醸した人物で、目の錯覚を技巧的に使用した円形の彫刻(反射鏡)を中心に展示している。吸い込まれそうになるような不思議な感覚を得られる。面白い。撮影はできない。

撮影できない たぶん撮影しても伝わらない

・OTA FINE ARTS
ダムタイプのメンバーでもあったブブ・ド・ラ・マドレーヌの作品を展示している。HIVやセックスワークに関する社会活動を続けてきたブフ、尋常性疥癬で皮膚が剥がれる様を見て人魚の鱗の脱皮をイメージして作られた作品で、自身の卵巣と子宮を摘出した経験もそこに盛り込まれているという。

浮遊する人魚は海の中のよう

・NUKAGA KOTARO
平子雄一の個展を開催している。天王洲アイルでも彼がキュレーターとなったグループ展を実施していたのでこのギャラリーは彼の作品で現在は埋められている。森の人がたくさんいる。成長するとそれがやがて木になって人格を無くしていくようなそんな怖いテーマが隠れている気がする。

森の人はやがて木の部分を増やして木になる

・LONDON GALLERY
古美術を専門に扱うギャラリーで、今回こちらでは特定の作家による展示はなく、仏教美術を中心とした掛け軸や陶磁器などが展示されている。畳敷きの床間があって、掛け軸や花入れが展示されているギャラリーというのも珍しい。現代アートとは一線を画した心が落ち着くギャラリーである。

ビューリホーである(発音注意)

・Zen Foto Gallery
田中長徳の個展を開催している。ここは写真を中心にしているギャラリーのため展示されている作品も全て写真。モノクロームの写真が映える。高度経済成長期に入った1960-1970年代の東京をリアルタイムに過ごした本人がカメラで切り取った作品。日本に前向きな活気があった時代に思いを馳せる。

もう見ることのできないリアル

・YKG/Yataka Kikutake Gallery
グループ展「愛と平和をまもるモノ(仮)」を実施。奈良美智による反戦、反核を謳ってきた作品、ミヤギフトシによるセクシャリティ・沖縄をテーマにした作品、中原正夫によるウクライナ侵攻前後に描かれた作品、村瀬恭子による生命力に満ちた作品、志賀理江子による他者との共有を目指した作品、東松照明による沖縄終戦に直面した作品、橋爪悠也による漫画描写、小林エリカによる版権スレスレ作品などがならぶ。

広いスペースではないが作品がみっちり

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