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神楽坂&目白周辺ギャラリー巡り

・AYUMI GALLERY(東京都新宿区・神楽坂駅)
大人の隠れ家こと神楽坂。横道に入るでもなくメインの神楽坂通り沿いの駅から徒歩1分の場所にあるのがAYUMI GALLERYである。イギリスのハーフティンバー風の木造建築の建物はイギリスで建築を学んだ建築家の高橋博による自身のアトリエとして設計されたもので、登録有形文化財として指定されている。こちらでは女子美術大学の学生による二人展を開催している。ホロコーストを題材とした本や写真からインスピレーションを得て制作した後藤瑞穂と、幽霊や亡霊などかつていた人やものに思いを馳せてその気配を感じる空間づくりをした神野友紀で、1階のみの割とコンパクトな構成ではあるのだけれど視点が好みなのと、やはり建物自体の見応えがたっぷりである。また目の前の庭にはかつて展示された「エルサレムの形のない図書館」の名残が残されている。

AYUMI GALLERYはレトロな建築が良い

・CAVE-AYUMI GALLERY(東京都新宿区・神楽坂駅)
AYUMI GALLERYに目を奪われていると、すぐ隣にあるひっそりとしたギャラリーの看板を見逃してしまいがちになる。CAVE-AYUMI GALLEYは隣のビル地下にあるAYUMI GALLERYの類系に連なるギャラリーで、オランダ人の作家ヴィンセント・ライタスによる作品展を開催。作家自身のルーツの一つでもあるインドネシアの影絵芝居にヒントを得て真っ暗なギャラリーで実施されている展覧会。展示室の中央にある時間ごとに満ち欠けする太陽を模した光源と、その周囲には取り囲むように何体ものタペストリーが吊るされ、光源から放たれる明かりがタペストリーを透過して周囲の壁に影絵が浮かび上がってくるというスタイルである。オランダと日本とをWEBでつなぎ、それぞれの国で男女それぞれのダンサーに踊ってもらい、その影が実際に男女で一緒に踊っているように見えるパフォーマンスも実施する。奥の部屋ではそのパフォーマンスの様子をモニターに映し出しながら、タペストリーの原画も紹介している。トイレは男女共用でウォシュレット式。

CAVE-AYUMI GALLERYは奥がCAVEのよう

・Maki Fine Arts(東京都新宿区・神楽坂駅)
現代アートを基調としたMaki Fine Artsでは、病気で衰弱した愛犬の体の大きさや骨格などを正確に再現した作品や、遺骨が収められた骨壷をCTスキャンして3Dプリンタで出力した遺骨をガラスや陶磁器に作品化したものなど死を想起させる作品をこれまでに発表している平野真美の個展を開催。想像上の生物であるユニコーンの骨格や内蔵、筋肉、皮膚などを緻密に制作した解剖図や、生命維持装置を繋ぎ合わせてあたかも本当に生きているような造形物には見るものの言葉を奪う強烈なインパクトを放つ。

Maki Fine Artsは中に搬送用のエレベータがある

・TALION GALLERY(東京都豊島区・雑司ヶ谷駅)
目白駅と雑司ヶ谷駅の間にある現代アートをメインに展示しているTALION GALLERYでは、斉と公平太の展示会を開催。その名前だけでは知らなかったものの、愛知県岡崎市のご当地キャラクタとして話題になった「オカザえもん」の生みの親である。貝殻に人が刻んだ模様や石のかけらにつけられたパターンを人類の最初期のアート、画像生成ソフトによって製作された女性の肖像画(元の有名な絵画を単語としてAIに指示して作らせた)を最新型のアートとして、時空を超えた二つのアートのつながりを表現している。個人的には愛知県から東京都までの東海道をひたすら徒歩で(何も聴いたりせずに)踏破した記録を残した映像作品が印象に残る。

TALION GALLERYは小道を入った奥にあり見つけにくい

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