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せたがや未来の平和館(東京都世田谷区・池尻大橋駅)

池尻大橋駅と三軒茶屋駅の中間あたりにある三宿エリア。芸能人がよくいるスポットとして有名なこのエリアの中心にある世田谷公園は普段はミニSLなどが走っていたりと地元の住民を中心にして賑わっている割と広い公園である。この世田谷公園の中央あたりに不意に現れる管理事務所のような建物がせたがや未来の平和館である。

なぜ世田谷公園に平和を祈念するような博物館があるのかというと、かつてこの地域が駒沢練兵場という大規模な軍事施設や、近くにある昭和女子大学の場所も近衛野砲兵連隊の兵舎があったりした関係によるもの。この世田谷公園に隣接して陸上自衛隊の三宿駐屯地が今でもあり、世田谷区には今でも多くの軍事施設の跡が残っているという。

多目的室では原子爆弾に関する展示が行われている。広島・長崎でそれぞれ落とされた原子爆弾は多数の被害をもたらしたことは誰もが知るところだけれど、爆発はスカイツリーよりも低い場所で空中爆発したのだという。太陽よりも熱い12000度の火の玉がその位置で爆発したのだからその衝撃は想像を絶するもの。世田谷公園の中には広島・長崎の被爆2世の木が植えられていたり、平和の祈り像や平和の灯といったモニュメントも建てられている。

常設展示室では戦争への道のりの紹介から始まり、軍服・軍の装備品、戦地へ向かう兵士の手紙や、無事に生きて帰ってこられるようにと縫われた千人針が実物で展示されている他、戦時中の庶民の生活にスポットをあてた展示も行っている。疎開によって離れ離れになった親子の手紙のやりとりが切ない。都内には昭和館やしょうけい館、平和祈念展示資料館といった戦争に関連する博物館がいくつかあるけれど、こちらのせたがや未来の平和館もまた戦争について考える機会を持つ施設である。

トイレは洋式。世田谷公園を利用する人にとってクリーンな屋内のトイレとしてよく利用されている。また館内には資料閲覧室があり、戦争に関する書籍や映像を閲覧することもできる。絵本やマンガもある上、展示室での残酷な表現は可能な限り制限されていて、子供に向けて展示室でのクイズが催されたりもしており敷居が高くない資料館と言えるかもしれない。


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