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国立新美術館(東京都港区・乃木坂駅 ファッション・イン・ジャパン)

国内のファッションの変遷を実物の展示や当時の記事などを見ながら知って行くという展示。客層も若い人が多い。ここにきて初めて入場制限で並ぶという経験をする。

https://www.nact.jp/exhibition_special/2020/fij2020/

1930年代のモダン・ガール隆盛にはじまり、カネボウ(クラシエ)のデザイナー田中千代による素敵なドレスパジャマで幕をあける。戦時下の国民服・モンペなどを経て、花森安治(「暮しの手帖」)や中原淳一(「少女の友」)らによって女性のファッションが紹介されると戦後には杉野学園や文化服装学院、桑沢学園などによってファッション文化は花開いて行く。このころ長沢節、森英恵なども台頭しはじめる。

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やがて一般にもファッションは浸透し、みゆき族(銀座のみゆき通りにたむろす若者が増えたことによる名称だそう)、エドワーズ、資生堂、レナウンなどがピックアップされて行く。オリンピックやミニスカートブームなどを経てヒッピー族が取りざたされるなど、1960年代にファッション文化が人口へ根付いたという考え方ができる。山本寛斎によるディヴィッド・ボウイーの衣装展示もある。やっぱり宇宙人だわボウイー。かっこいい。

さすがに当時の先端デザインなので、いま見ると時代を感じるものもあるけれど、逆に今でも充分に素敵なデザインの普遍性もある。大阪万博の制服デザインもめちゃくちゃ好き。このころ菊池武夫、鳥居ユキ、松田光弘、コシノ姉妹、川久保玲らが台頭し、現在も続くブランドへの道筋を作っている。
このあたりで客層の中にふと美少女を発見。一瞬で目が釘付けになる。マスク越しだし本人のはずはないのだけれどモデルの高橋マリ子に似ている。そういえば『ぶらぶら美術博物館』でもここの特集をしていた。お忍びで来ている可能性も微粒子レベルに存在する。かといって「あ、あの、マ、マリ子さんですか?」なんてオドオドした髭に声かけられたら怪しいことこの上ない。不審者そのものである。人違いだった場合はもっと惨劇である。そのリスクを踏まえ心の中にそっとしまいこむ。

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1980年代に入るとDCブランドの全盛期でバブリーなファッションが一気に増える。それまでの発展期を担ってきたデザイナーを始め、中野裕通、ドン小西らによるギトギトしたファッション。とても時代性を感じる。一方で一般では短ラン・ボンタンという不良のファッションが浸透し、竹の子族(ブティック竹の子が由来だそう)も発生。1990年代に入るとコギャル文化を経て渋谷系としてエイプなどが発展する。90年代の後半にもなるとオタク文化とギャル文化の二極化が激しくなる。ケイタ・マルヤマ、アツロウ・タヤマ、マサキ・マツシマら、なんでかわかんないけどカタカナ表記の人が増えてネーミングが無個性化する。最近もそうだけどアーティストとか作家の人とかなんでカタカナで名乗る人が多いんでしょうね。よくわかんないんだけどカタカナの名乗りがカッコイイとかって風潮なんですかね。

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2000年代になり、いわゆる「kawaii」がキーワードとなる文化の中で、ゴシック&ロリータがピックアップされポップカルチャーと急接近する。作家もミニマムに個性的なデザインを発揮し、アートと商品の境目がかなり曖昧になってきた印象がある。
そして最後は未来へと向かうファッション。ジェンダーレスを起点にしたデザインや原点への回帰、環境との共存などの思想がわかりやすく提示されることになる。消費するファッションから生活に即したファッションへの転換と言えるのかもしれない。

結局、高橋マリ子らしき子に声をかけることは叶いませんでしたが、きっといつかまた出逢える。運命ならば。そして同じ絵とかで立ち止まってそこでお互いに気づいてはにかみあってまた別の絵で立ち止まって意識しちゃって勇気を出して声をかけて仲良くなって連絡先交換してデートしてお付き合いできる。運命ならば。その日を夢みて今日も生きるのです。




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