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金土日館(東京都文京区・千駄木駅)

森鴎外記念館の裏門から出てしばらく歩くと5分ほどの距離にあるのが金土日館である。岩田専太郎という大正・昭和にかけて活躍した挿絵画家のコレクションを中心している美術館である。森鴎外記念館からかなり近い場所にあるので一緒に回るのが良いかもしれない。相互割引もある。

注意点としてはその名の通り、金曜・土曜・日曜しか開館していないということ。開館時間も変動があるようなので事前に問い合わせるのが良いかもしれない。見学者は驚異のゼロだった。

生涯で描き続けた挿絵は6万枚にもおよぶと言われている。その厖大な数だけも唖然とするのに、一つ一つの描写が情感を掻き立てるような画風で、小説の肝になる部分をバチっと切り取ったことから、岩田専太郎を挿絵画家として指名する小説家もいたという。

展示室は撮影不可。地上階と地下階の2フロアーになっている。広いわけではないがソファーが要所要所に備えられていて好ましい。一般の邸宅をギャラリーにしたという趣と考えた方がよいかもしれない。トイレもウォシュレット式の一般的な個室。順路は地下階から。岩田専太郎だけでなく、鏑木清方や伊東深水など他の日本画家の作品も展示されている。地下階は新聞連載の挿絵を中心とした展示になっている。司馬遼太郎、吉川英治、川口松太郎といった大家から愛されたことが作家の談話として残っている。

地上階には美人画を中心としたカラー作品がある。これが圧巻。

やばい。

めちゃくちゃ美人。

ほれる。

日本画をベースとしながらも独自の画風を組み上げていった鬼才。正直なところここに来るまでは知らなかったのだけれど、この美人画を見て一気にファンになってしまった。美しさと儚さと妖艶さが内在する。たまらぬ。思わず絵葉書とクリアーファイルを購入してしまった。


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