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東京海洋大学マリンサイエンスミュージアム(東京都港区・天王洲アイル駅)

天王洲アイル駅から運河を淡った先にあるのが国立大学の中でも特に海洋の研究や教育に特化した大学である東京海洋大学。ここ品川キャンパスの他にも越中島キャンパスがあり、東京湾の海洋生物はもちろん、世界中の海洋生物への研究も行われている。品川キャンパスの構内には漁業練習・調査船として使用された雲鷹丸も残されている。こちらの構内にあるミュージアムが東京海洋大学マリンサイエンスミュージアムである。

東京海洋大学は三菱商船学校と大日本水産会水産伝習所が前身となり、何度かの改編を経て二つの学校が統合されて2003年にできた大学。140年以上の歴史を持ちながら割と近代的な名前なのはこうした理由による。マリンサイエンスミュージアムに入ると巨大なタカアシガニの標本とマッコウクジラの下顎の骨格標本がお出迎え。また実際に亀の甲羅やクジラヒゲなどに触れられるコーナーもあれば、雲鷹丸の巨大な模型もある。

雲鷹丸は構内にもある

メインとなる展示室は2階。階段を上って最初に目に飛び込んでくるのは船の模型。練習船として使われた歴代の船が紹介されている。初代の快鷹丸や二台目の雲鷹丸をはじめ、最初は練習船として生まれながら戦争に使われ撃沈された白鷹丸など、実に多くの練習船が作られた。海鷹丸は南極やガラパゴス諸島も訪れ、そこで採集されたペンギンなど生物の剥製も展示されている。なお海鷹丸は南極観測船の宗谷が初めて南極の昭和基地を建設する際に随伴した船でもある。

館内撮影NGなので代わりにタカアシガニをご覧ください

展示室のほとんどを占めるのが海の生物についてのコーナー。海の生き物を七つのグループに分けてそれぞれの標本や剥製を展示している。ウミガメや魚類、海鳥、甲殻類、鯨などの哺乳類、貝などの無脊椎動物、藻やプランクトンといった多種多様な生き物たちがいる。興味深いのは魚類。数多くの魚がいる中でその分類はスズキ、フグ、サケ、コイ目と大雑把な切り分けなのに対し、鮫はツノザメ、メジロザメ、カスザメ、ネコザメ、チョウザメとそれぞれの個体が独立した分類のように存在していること。それだけ複雑な種類ということなのだろうか。鯨のコーナーでは、鴨川シーワールドの館長だった鳥羽山照夫氏が生前に彫刻家の高橋俊男氏へ依頼した鯨類コレクション(ミニチュア模型)が見応えたっぷりである。

館内撮影NGなので代わりにマッコウクジラのアゴをご覧ください

人間の生活に密接に関わるところでは水産加工食品としての缶詰、乾物などといった食品生産のコーナーや、漁業や養殖に特化して実際に使用していた漁網や模型を展示するコーナーもある。海の研究だけでなく人と海洋との関わりも研究する東京海洋大学ならではといったところ。奥の特別展コーナーにはドワーフミンククジラの骨格標本もある。

館内撮影NGなので代わりに捕鯨砲をご覧ください

トイレはウォシュレット式。なお、隣接する建物にはセミクジラ、コククジラ、ツチクジラといった三体の骨格標本を展示した鯨ギャラリーもある。鯨の研究には欠かせない。はず。マリンサイエンスミュージアムは大学の博物館なので開館日が平日というのが惜しいところ。骨格標本をはじめとして貴重な剥製や模型を間近に見られる貴重なミュージアム。

隣接して鯨の骨を展示している鯨ギャラリーもあるよ


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