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玉堂美術館(東京都青梅市・御嶽駅)

御嶽駅の目の前にある橋を渡ればすぐに川沿いにあるのが玉堂美術館。世界各国の専門家によって選出される日本国内の優れた日本庭園ランキングでも1000近い候補の中で常に上位にあり続けている美術館で、美術品を観るだけでなく美術館自体を眺めるのも一つの楽しみ方だったりする。

その名の通り日本画壇の巨匠である川合玉堂を記念した美術館で、晩年に過ごした御岳の地に死後さほど経たないうちに多くの声が上がって建てられたという。新数寄屋造りの第一人者で、玉堂はじめ多くの文人の邸宅を手がけた吉田五十八が設計を手がけ、これまた名作庭師の中島健が作庭を手がけている。テーマは「無限」で、借景を生かしつつ多摩川の流れを表現しているのだという。実際この美術館を訪れた際にも展示室の中にいる人数と庭を眺めている人数が同じくらいだったことから、いかにこの庭が印象的なものかが窺い知れるというもの。

庭園が売りの一つ

今回は新緑の季節に合わせて、自然に関する生き物や村の風景などを中心とした展示内容となっている。展示室は2つあり、手前の展示室1では比較的おおきな絵、奥の展示室2では小さな絵が勲章、資料展示といった内容になっている。
展示室1の方で目を引くのは柔らかいタッチで書かれた栃若葉や白兎といった生き物のほか、寒山拾得など中国の故事にならった人物画もいくつか紹介されている。真ん中のガラスケース内には玉堂の習作時代の作品が置かれている。望月玉泉、幸野楳嶺、橋本雅邦という3人の師匠に学んだ玉堂は早いうちから頭角を表したという。

晩年の画室「随軒」には師匠たちの写真も飾っている

展示室2の方では勲章やら日常の玉堂についての説明がある。人物交流の中ではなんといっても横山大観と川端龍子との交流が注目で、メインストリートの大観と独自路線の龍子に挟まれながら楽しくやっていたらしい。あとやっぱり猫が好き。どうしてこう画家には猫好きが多いのか。別室には晩年の画室が復元展示されている。展示作品のリストが無いのが玉に瑕ではある。トイレは洋式。

入口には車椅子用の昇降台もあってバリアフリー


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