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東京工芸大学写大ギャラリー(東京都中野区・中野坂上駅)

東京工芸大学の芸術情報館には写大ギャラリーがある。その名の通り写真をメインにした展示を中心にしているギャラリーになっている。今でこそ多くの芸術に関する教育を行っているが、もともと写真教育機関として歴史のある大学ということもあって写真をメインとした展示を年に数回おこなっている。

来年には創立100年を迎える大学を記念した外の壁面ボードには、出身でもあり名誉教授でもあった写真家の田沼武能の作品が展示されている。彼をはじめ、初代の写大ギャラリー運営委員長だった細江英公や、日本を代表する写真家の作品がこの大学にコレクションとして残されている。土門拳や森山大道の写真も多く収集されており、それらも時期によって展示されている。

100年の歴史を持つ大学

写大ギャラリーは館内すぐ左手の階段を上って行く先にあり、階段の途中には多くのカメラが展示されているのも印象深い。今回は卒業生でもある古屋誠一の写真展を開催。写真家を志してヨーロッパへ向かった先で出会った妻クリスティーネをモデルに、日常のさまざまな姿を切り取った彼の写真集といった趣になっている。最初にクリスティーネへ向けた初々しい写真や、アパートから身を投げて亡くなる直前の写真までを網羅しており、その変貌が痛々しく残る。

クリスティーネの笑顔が切ない

ギャラリー手前には大判のカラー写真が展示されている。目の前でしばらく眺めていると作品を照らしていたライトがフッと消える。これは演出ではなく、たまたま照明が故障していたことによるもの。今は亡い彼女の肖像画を思うときに偶然とは言いながらも何かメッセージ性を感じてしまう一幕でもあった。トイレはウォシュレット式。

愛の軌跡に胸がくるしくなる

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