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寺町美術館(東京都台東区・日暮里駅)

谷中から日暮里へ向かって歩いて行く途中にある小さな美術館が寺町美術館。ホテホテ歩きながら、色々と記憶を上書きして行く。

路地を少し入った場所にある寺町美術館は、富澤祐三という青森の医師によって収集された浮世絵コレクションが中心の比較的あたらしい美術館。館内はギャラリーとして貸し出すこともあるそうで、1フロアのみの決して広くはない場所ではあるものの、かなり貴重な浮世絵が多く展示してある。

右側の扉が入口

入館時にはお茶を出してくれたり、邪魔にならない程度のクラシックをかけたりしてくれるなど、来館者への気遣いがありがたい。リラックスした気分で作品を眺めることができる。歌川豊国や東洲斎写楽などの浮世絵がある。もちろん本物で紙質や擦りの凹凸まで直に見られる。

有名な浮世絵師の作品がたくさん

すごいコレクション数ですね、なんて話を中央のテーブルで館長とお茶を飲みながら談笑していたら、いろいろと美術館が設立するまでの経緯を教えてくださった。

館内は板張りとなっているのだけれど、ここはもともとは剣道場として作られたことによるものだそう。確かに天井には神棚もある。ただ剣道場自体は手狭というのもあって長続きせず、何か別の用途に使えないか模索していたところ、ちょうど遺された大量のコレクションが手元にあったので、ただ抱えているより一般にも公開したいという館長(姪にあたる)の想いから開放されたのだという。

神棚があるのは道場の名残り

この地域は町をあげて景観を大事にしようと取り組んでおり、実際この美術館も谷根千エリアを彩る景観の一つとして採り上げられることもある。居抜きでリノベーションしている店が多いのも、景観を大事にしたい地元の方々やこのエリアを大事に思う人たちの想いがあってこそ。ただ近年では再開発で高いビルが立ちはじめている現状もあるそうで、昔ながらのエリアがこれから先どうなって行くのだろうか。トイレは個室ウォシュレット式。


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