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わたせせいぞうギャラリー(東京都港区・目黒駅)

わたせせいぞう氏の作品が実はもともとはあまり好みではなかった。なんとなくバブル時代というか軽薄さを勝手に感じ取っていたからかもしれない。けれどこれまでにいくつかの美術展に足を運び何人かのアーティストに触れてきた中で、わたせせいぞう作品に対して個人的にはかなり好感度が高くなっている。

光の濃淡を線で区切るというリーニュ・クレールの技法。国内では鈴木英人や永井博と並ぶ大家として知られており、とにかくその描写の細かさが素晴らしく目を奪われてしまう。

中でも波しぶきを線で描くという技術力・観察力には驚く。線で区切られているのに本物の波のように見える。線で区切られているからこそ日光の照射具合まで想像できるのである。これをたとえば自分が描くとなったらどれだけの期間をかけなくてはならないだろう。わたせせいぞう氏は作品を量産しそれを今でも続けている。ひたすらシンプルに徹した人物画との対比もなかなか面白い。

ギャラリー自体はそこまで広いものではないけれど、これまでに氏が手がけてきた作品や、イラスト、ポスターなどが展示されている。部屋を大きく占めるのはストリート・ピアノとして生まれ変わっているピアノ。また彼の作品によく登場してくるバイクのヴェスパも展示されている。

トイレはウォシュレット式の個室。ギャラリーの中央に販売スペースがあり、カタログを見ながら吟味する。今回はポストカードを2枚ほど購入。シティポップを聴きたくなる。


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