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曼荼羅美術館(東京都練馬区・練馬高野台駅)

曼荼羅である。いくつかミュージアムを巡ってきて曼荼羅の何たるかが少しだけわかってきた自分には怖いものなどない。曼荼羅を集めた美術館があると知れば躊躇なく向かうのが人間の性というもの。曼荼羅美術館は真言宗智山派の観蔵院という寺社の中にある。寺社とミュージアムが関わっている例はいくつかあるのも経験済みなので寺社の中だろうが遠慮なく訪問である。

曼荼羅には胎蔵曼荼羅と金剛曼荼羅があることは誰もが知るところであろう。教科書にも載っている。織田信長や墾田永年私財法と同じレベルで載っているはずである。間違いない。この二種類の曼荼羅を中心として、いろいろなデザインの曼荼羅が館内には展示されている。本館と別館があり、いずれも2階が展示室となっており渡り廊下でつながっている。

ロビーから仏像

入口から階段を上った2階が本館の展示室となっており、まず目に入ってくるのは日本画家の染川英輔による『新六道図』で、これは仏教でいうところの六道すなわち天・人・餓鬼・畜生・修羅・地獄の六道を現代の視点から描いたという魂が迸る大作。良い意味で常軌を逸しておりそのインパクトの強さに心が奪われる。正面に釈尊の絵を配し、右には東洋の偉人(孔子や老子、聖徳太子やガンジー、塙保己一までいる)、左には西洋の偉人(アブラハム、イエス、マホメット、マザーテレサ、ミケランジェロ、チャップリンまでいる)が控え、周囲には八大地獄(等括、黒縄、衆合、叫喚、大叫喚、焦熱、大焦熱、阿鼻)がそれぞれ描かれている。釈迦入滅からホロコーストやら911まで題材にされているというその幅広さと絵のタッチがやばい。人間界には荒川静香や斎藤佑樹まで描かれている。狂気。

別館では廊下で16世紀から19世紀に描かれたミニアチュール(細密絵画)が展示されている。本物じゃない可能性もある、とコメントが入っているのがかわいい。展示室ではネパールの絵師であるロク・チトラカールの仏画を展示している。展示室の一面に貼りめぐらされた百八の観音菩薩は圧巻。仏教だけでなくヒンズーの神なども対象になっているのも特徴的だろうか。ちなみに階段にはインド・ネパール一帯で描かれたミティラー民俗画も紹介されている。トイレはウォシュレット式。

トイレに向かう途中にも仏画

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