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駒澤大学禅文化歴史博物館(東京都世田谷区・駒沢大学駅)

駒澤大学というと仏教のイメージが浮かぶ。実際に構内には大学生の他に修行僧と思しき人たちも歩き回っていて、一種の独特な雰囲気を持っている大学の一つでもある。そしてこの大学が持つ博物館もその名を冠した「禅文化歴史博物館」となっている。

建物自体が90年を超えるかつて「耕雲館」と呼ばれていた建物で、現在もミュージアム機能と研究室機能とで現役で使われている歴史的な建造物であるこちらの博物館、1階の展示室へと入れば天井までの高い吹き抜けとなっていて、天井には鮮やかなステンドグラス。そしてフロアの中央に鎮座する釈迦仏像という、荘厳な宗教寺院さながらとなっている。銀座サッポロライオンビヤホールなどを手掛けた菅原榮蔵による建築だという。その造形はタイルなどにも現れていて、フランク・ロイド・ライトの建築様式に自身の独創性を加えた造りとなっている。

素敵な天井

中央の釈迦仏像と左右に控える道元禅師(永平寺を開いた高祖)、瑩山禅師(總持寺を開いた太祖)に一礼したあとはその周囲をぐるりと囲む形で展示室を巡って行く形に。最初にあるのが仏具。実際に手に取って音を鳴らしたりとかできる。なかなか手にする機会がないので面白い。あとすごい音が出るのでちょっと恥ずかしい。

じゃんじゃん鳴らそう

まずは禅の発祥から中国での発展、そしてそれが日本へ渡って成立するまでの歴史を紹介している。日本で曹洞宗の禅を開いたのは道元禅師、そこから全国に浸透していった流れを説明している。もちろん教科書で名前を覚えたレベルの人間に詰め込まれる情報量はとても賄い切れるものではないのでひたすら納得するしかないのだけれど、『正法眼蔵』と『伝光録』という経典があるのが理解できた。

写経も体験できるよ

実際に修行僧の生活(衣服や食事)なども紹介されている。「起きて半畳、寝て一畳」といった空間での生活は結構しんどそう。食事もかなり質素で、流石に真似できないな、と空腹が暴走するのであった。般若心経を写経するコーナーもある。興味深いところでは道元禅師の絵伝として大きな掛け軸が展示されていたこと。ぶっちゃけ漢文だったりで読めないけれど、こうやって経典代わりに広めていたんだろうな、ってことが想像できる。

ここで生活するのである

1階の最後は博物館の前身である図書館の遺構が紹介されている。それに併せて、博物館が開館して20周年に作られたクリアファイルをプレゼントしてくれている。禅らしいというか、宇宙的なデザインの格好いいのが3種類。どれにしようか迷ってしまう。

ZEN

階段を上った2階にも展示室がある。大学史展示室ではこれまでの駒澤大学の歩みとともに、駒澤大学で培った伝統的な相撲部の特集がされている。
企画展示室は3つほど。吹き抜けを見下ろす形で2階をぐるりと周り、歴史分野(細川家との関わりがあったという)、仏教・禅分野に分けてこれまでの駒澤大学との関わりを紹介している。2階の展示室は割とコンパクトではあるものの、1階のボリュームたっぷりの展示とでちょうどバランスが良いくらいかもしれない。いくつか巡ってきた大学博物館の中でもかなり展示内容が濃く充実した部類に入ると思う。トイレは和式と洋式。

2階から見下ろしてみる

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