見出し画像

文化学園服飾博物館(東京都新宿区・新宿駅)

新宿駅南口から甲州街道を初台方面へと進むとやがて見えてくるのが文化学園。併設されている短期大学や文化服装学院と共に日本のファッション文化の教育機関としてファッション関係に限らず小説家や映像デザイナー、アーティストなどに俳優といった多岐にわたる文化の担い手を輩出してきたことで有名である。

各所に点在する休憩用のベンチはまた洒落ていて、ちょうど電子ドラムみたいなデザインをしている。ジョージ・ネルソンによるマシュマロ・ソファで、埼玉県立近代美術館にも展示されていた記憶がある。

こちらの博物館ではその50年以上にわたる歴史の中で培ってきた膨大な資料やファッションを展示しており、今回の企画展では特にその中から民族衣装にスポットを当てている。

多種多様な民族文化の元で作られてきた衣装。かつては世界中の各地で点在し、独自の文化を作り上げていったのが、文明の発達により他文化と接触する機会が増えたことによって交流をして行く中でいかに発展し、いかに混ざり合っていったのかというのを時系列で展示している。

展示室は1階と2階にある。まずは2階から。16世紀の大航海時代を皮切りに、未知の世界がぐっと縮まったことによって、先進国は発展途上国に触れる機会を得た。今までの常識は自分たちの中でのものでしかなく、様々な文化や環境の違いによって、それに合わせた生活、当然それに合わせた服装というのもある、ということを知った彼らはそれらの技術を吸収し、あるいは記録している。

極東の果てである日本もその一つであり、当時の先進国であった欧州からは考えられないような奇抜ないでたち、逆に日本としても考えられないような欧州の異様さを目の当たりにしたことが記録として残されている。面白いのが、そこから噂が噂を呼んだのか、日本における書物の中でそれら西欧の未知の世界を想像で描いた絵が出てきている。巨人族・小人族の国もある。これらは現在では架空のものとして片付けられている風潮があるが、はたしてそれは本当に架空だったのだろうか。あるいは本当だったとしたら面白い。

面白かったのが陸軍の関連組織がファッションの機関紙を結構な頻度で出していたということ。軍服を取り扱っていたことからそういう流れになったようだけれど、海外の服のパターンなど紹介しており、マニアックすぎてたまらない。

今回の展示作品で取り上げられている民族衣装は特に女性のファッションが多い印象がある。服装だけでなく装飾においても男性のそれよりも手の込んだ造りをしているのが面白い。

1階の展示室ではそれら民族衣装を取り入れた現代のファッションの変遷を実物と共に紹介している。特にヴォーグ誌などで取り上げられるとそこから一気にブームになることがうかがえる。トイレはウォシュレット式。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?