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板橋区美術館(東京都板橋区・西高島平駅)

板橋区美術館に訪れるのは2年ぶりだろうか。デザイナーの駒形克己展に訪れて以来の訪問。絵本やデザインに力を入れている印象のある板橋区美術館らしく、今回はイタリア・ボローニャで開催された国際絵本原画展の入選作品を紹介する企画展が開催されている。

児童書専門のブックフェアが主催するコンクールで、新人作家の登竜門としても知られている。今年度の作品は過去最多となる92カ国からのエントリーがあったという。特に印象的だったのが、このご時世、移動が制限されて人と人がリアルに会うことが少なくなってしまった現状を反映するかのように、孫が祖父母に会いに行く話など、現実で叶わないことを物語の中で実現させるようなエピソードが募集作品に多かったという。

毎年の夏に開催されているボローニャ国際絵本原画展

展示室は2階。中央広場を基点にした展示室がそれぞれ3つ伸びている。一つ一つの作品は5枚ずつ展示されており、5枚の絵それぞれにストーリーが1行くらいで解説されている。印象的だったのは国によって色使いが違うこと。イギリスはモノクローム、スペインは色彩豊かなど、国によって傾向があるのも面白い。
以下、個人的に気に入った作品をいくつか列記。

・モナ・アーモリー(イラン)『皇帝と衣装』アラビア調の神話
・モハンマド・バーバークーヒー(イラン)『わたしはただの水玉』まさに草間彌生を思わせるカボチャ
・ダーレ・ブランケナール(南アフリカ)『桃を盗んだ話』影絵のような神秘さ
・ユリア・ドロボワ(ウズベキスタン)『ミミズを見てみよう』子供目線でのミミズの可愛さ
・ペラ・ジナルド(スペイン)『全ての生きているもの、死んだもの、想像上のものの事典』承継文字みたいので埋めつくされている
・ボールボス(台湾)『カラスのほら穴』村を逃げたり暗い描写
・アラ・フローラ(ポーランド)『どよんどよん』トラウマになりそうな赤の閃光
・キム・ギョンシン(韓国)『私はあなたは』自転車のスピード感
・マルヤ=リーサ・プラッツ(エストニア)『がいこつ太郎』ピンクと鉛筆のみで光を絶妙に再現
・クレール・シュヴァルツ(フランス)『虫ホテルの夜』バンド・デシネ調の絵柄
・クララ・ルサン(クロアチア)『恐怖のリズムー深淵の舞』モノクロで死の匂いがする
・マリア・パスクアル=デ・ラ・トレ(スペイン)『歴史をめぐる音』音の変遷は図鑑みたい
・パク・ヒョンミン(韓国)『普通の道』たんぽぽの目線がトラウマになりそう
・フラヴィア・ルオートロ(イタリア)『世界中の一瞬』谷川俊太郎みたいな散文

1階の休憩室もいい味を出してる

中央の展示広場では今回および歴代の作品が絵本で手に取って読める。中でもリウ・ジョアン(今回は『虹が寝てるよ!』を出品)の『わたしの美術館』は最高に面白い。一目惚れしてしまった。
1階にはミュージアムショップもあり、今回の作品をはじめ、国内外の絵本やイラストが販売されている。トイレはウォシュレット式。

この圧倒的な外観


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