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青梅市立美術館/小島善太郎美術館&青梅市立郷土博物館(東京都青梅市・青梅駅)

・青梅市立美術館/小島善太郎美術(栗原一郎展)

以前に百草園の小島善太郎記念館へ訪れた際に、東京に小島善太郎関連の美術館が併せて3つあるという紹介を受けた。八王子夢美術館とこの青梅市立美術館になる。八王子夢美術館の方は確かに一室で作品と人物の紹介がなされていたものの、青梅市の方は普段の生活圏からは大きく離れていたので訪れることもできないでいたところ、長期休暇ができたのでこのタイミングでと訪問。

今回は企画展として多摩地域を代表する洋画家の一人である栗原一郎の没後2年の展覧会が開催されている。
入口の正面は非常に高い天井になっていて解放感がすばらしい。階段を上った2階が展示室となっている。展示室1では栗原一郎の生涯を紹介しながら、彼が得意としていた裸婦像や女性像の油絵を中心にした展示となっている。モノクロを基調として、墨を散りばめたような作風に観ている側は刹那的な想いに囚われる。
続いてそれらの元になったであろうデッサンが続き、次のコーナーでは後ろ姿シリーズがある。踊る男やボクサーなどの後ろ姿を描いた作品。漂う哀愁と悲壮感に思わず鳥肌が実る。

この質感がエグいぜ

展示室2では風景画と静物画が中心の展示となっている。ユトリロを思わせる不健康な感じの作風で個人的には割と好み。静物画のうち花を描いたWinter Roseなど、華やかさとは真逆の冷たさが伝わってくるようである。
この展示室2の半分が小島善太郎美術館としての機能を有しており、作品がいくつか展示されている。小島善太郎を世話した軍人の中村覚の肖像画もここで見られる。変わったところでは、劣化した作品の修復前と修復後の比較も紹介されているのが興味深い。これにて小島善太郎関連はコンプリート。
美術館の2階には展望ロビーもある。こちらの窓からは多摩川が見渡せる。トイレは洋式。

開放感のある館内

・青梅市立郷土博物館

美術館から青梅街道を下って近くにある鮎美橋を渡る。眼下に見える多摩川では早くもキャンプが張られていてシーズンの訪れを感じる。郷土博物館は橋を渡った多摩川の対岸にある施設でこちらは無料。

3階建てのうち2階と3階が展示室となっている。厳密には1階にも一部だけガラスケースに展示がある。青梅市に墜落したB-29の破片が残っている。多摩地域の方にまで空襲に来ていたというのは知らなかった。その時に墜落した爆撃機のエンジンが残されている。また逆に日本軍の爆撃機である飛龍も終戦直前に墜落したという。2機のエンジンが並んで残されていることで圧倒的な戦力の違いがわかる。

大きさが全然ちがう

2階では企画展として林業と筏流しという、かつて青梅の主要産業だったものについての展示が行われている。多摩川を利用して上流にあった木々を下流へと運ぶ際に筏を使って運搬していたのだという。鉄道の発展に伴って姿を消してしまったものの、大きな滝もない多摩川では重要な産業だったことがわかる。

おなじみ石棒 デカいぜ

3階は一般的な博物館と同様、土器や石棒の紹介がありつつ、目を引くのは赤糸威鎧の復元模造品。中世鎌倉武士の畠山重忠が使っていたもので実物は御嶽神社の宝物殿に収められている。本物はしれっと国宝。早朝にも関わらず博物館にありがちな人数ゼロではなく数人いる。日常が戻ってきていることを痛感。トイレは和式と洋式。

赤糸威鎧 実物は更に赤い


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