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国立公文書館(東京都千代田区・竹橋駅)

国立である。都がやってるわけでも区がやってるわけでもない。国がやっている機関。都がやってる東京都の公文書館は国分寺にあるが、国立公文書館はこの皇居エリアに鎮座している。国立近代美術館のすぐ隣にありながら、美術館の方が有名過ぎるがゆえに影が薄く、展示室があることなどあまり知られていない切ない場所である。

公文書館としての役割は主に公文書の保管や閲覧にある。そのため来訪者のほとんどは公文書を閲覧しにくる(研究や仕事関係の)目的でのため、わざわざ展示だけを目的に訪れるというのはあまり多くないのかもしれない。とはいえさすがに国立。東京都公文書館に比べると他の見学者が倍くらいいる。つまり2人もいるということだ。その注目度の高さが窺える。

混雑の予感

開催されていた企画展は「江戸城の事件簿」として、まさにこの施設が建っている地にあった江戸城で起きていた事件簿を、国立公文書館の収蔵品である書物の貴重な現品を展示しながら紹介するという、かなり資料価値の高いものである。さすがは国立、持っている書物の質も量も半端じゃない。江戸期の地図なんかがバンバン出てくる。『江戸御殿之図』『江戸御本丸大御奥御殿向図(御ばっかり)』なんかは間取りまでわかってしまう。

敵方に渡ったら一発でアウトな資料

江戸城では多くの事件が起きている。「大老堀田正俊殺害事件(御用部屋という警備部屋が作られるきっかけになった)」「松の廊下刃傷事件(忠臣蔵で有名な事件)」「板倉修理刃傷事件(隣人トラブルが発展して殺人事件に?)」「田沼意知殺害事件(加害者が英雄呼ばわりされた)」「桜田門外の変」など。その中でも「松平外記刃傷一件」は衝撃的。いじめによる復讐から殺害事件が発生し、関係者が口裏を合わせて虚偽の報告をするといった醜悪きわまる文化がこの時代からあったことがわかる。
ほかにも金庫を窃盗したと思われる泥棒が溺死体として発見された「蓮池金蔵の窃盗事件」、浪人が見事に潜入した「奥金蔵の窃盗事件」や、変わったところでは江戸城へ侵入した犬をみんなで追いかけた「斑犬入城内」など、(大奥の泥沼劇の外は)平穏に思える江戸城でも様々な事件が起きていたことがわかる。

犬の逃走経路までわかっちゃう

常設展示では重要文化財の「朽木家古文書(北条義時下文)」が展示されている他、教科書で名前だけは見かけたことのある「民撰議院設立建白書」や「大日本帝国憲法」「教育勅語」「日清講和条約」などが展示されている。また「日本国憲法」もなんと公布原本(天皇陛下の署名つき)が展示されている。またわかりやすいところでは新元号を発表した時に使われた「平成」の書や「令和」の書(こちらは複製)が展示されている。トイレはウォシュレット式。

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