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多摩美術大学美術館(東京都多摩市・多摩センター駅)

多摩美術大学のキャンバス自体は八王子の方にあるのだけれど、美術館が多摩センターにある。
今回は企画展として多摩美術大学が所蔵しているコレクションを「水・木・金・土」の4つのマテリアル(素材)に分けた展示を見学。大学自体が多数のアーティストを輩出しているけれど、そのコレクション展とくればクオリティは間違いなしと期待が高まる。

大学の博物館は基本的に無料の場所が多いけれど、あくまでここは美術館なので金額は発生する。美術大学の美術館は割とそういう場所が多い様子。企画展の内容によって金額の差はあるかもしれないけれど、作品のクオリティを考えればかなり安いのには違いない。

建物も立派

フロアは2階まであり、各階に2つの展示室の合計4つの展示室がある。それぞれの展示室で水・木・金・土のコンセプトごとの作品をまとめている。作品の撮影はできない。

まずは水。常にゆらぎ流転しながら、心の深淵をうつし出す鏡となる、をコンセプトにしている。水や液体を想定させる作品が多い。中でも注目だったのは杉浦非水。戦前戦後のデザイン分野で活躍した第一人者で、いわゆるグラフィックアートの商業作品では目にしたことがあったものの絵画作品を見るのは初めて。リーニュクレール技法をはじめとした技法が一つの作品に散りばめられていて衝撃。

次は木。いにしえより暮らしや文化を育み、生き方や生命そのものを象徴する、をコンセプトにしている。テキスタイルの展示だったり木版のリトグラフだったりがある。杉浦非水の他にも駒井哲郎や安井曾太郎のエッチングがある。一際わ目立ったのは高木晃による漆を使った作品。椅子としても使えそうな巨大な木が目立つ。

ちなみに館長もインパクトのある方

2階に上がって金のエリア。堅牢かつしなやかに千変万化、輝き・強さ・はかなさの創造を叶える、をコンセプトにしている。考古学の割合が高く、青銅器の銅鏡や仏像などが揃えられている。目玉となるのは舟越保武のブロンズ『原の城』だろう。島原の乱に加わった武士を作っている。目と口が空洞になっていて魂の抜け殻のようになっている。本人がカトリックだったのもあってキリシタンを題材とした作品が多い。個人的にも舟越桂が好きなのもあって思い入れがある。

最後は土のエリア。生命を育む母であり、私たちの足もとを支え、郷愁を呼び覚ます、をコンセプトにしている。こちらではそのほとんどが土器や土偶の展示になっている。ちょっとした博物館である。模造で素材はセラミックで出来ているらしいのだけれど、本物と見紛うくらいのクオリティで本物だと言われてもわからない。他にも福沢一郎の絵があったりする。

トイレは朱塗りでインパクトがある。洋式。小用トイレが床まで伸びているスタイルで意外。やっぱりサンリオピューロランド帰りの親子連れとかが来るのだろうか。

個人的には金のエリアが好み


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