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関口芭蕉庵(東京都文京区・早稲田駅) & 永青文庫(同上・仙厓ワールド) &

・関口芭蕉庵

肥後細川庭園と椿山荘に挟まれてひっそりと佇んでいる関口芭蕉庵。芭蕉である。松尾芭蕉の主家筋だった藤堂家による神田上水の改修工事が行われた際、その工事に携わったことで住んでいた場所と言われている。

当初は竜隠庵という水番屋だったが、その死後に弟子たちによって記念して「芭蕉堂」が作られたという。邸内には池が作られ、うっすらと茂った庭園になっている。戦災などで何度か焼失して現在のものは戦後になってから復元したものであるが、ひっそりと佇む庭園を眺めながら芭蕉に思いを馳せてみるのも良いかもしれない。トイレはなし。

・永青文庫

肥後細川庭園の一角にある永青文庫。文学館のような名前ではあるけれど書物だけではなく、細川家の所蔵する美術品コレクションを展示している美術館である。大名家の美術館としては東京都内で唯一となる。今回は江戸時代の禅僧である仙厓義梵の書画が多く紹介されている企画展を行なっている。

禅僧が描く書画ということで、庶民にわかりやすく禅についてを教えることを目的としたものである。一般的にそういった仏教画は難解なものであるイメージが強いけれど、仙厓義梵の禅画はそのイメージを完全に覆す素敵なクオリティになっている。タイトルに「また来て笑って!」とあるように、とにかくゆるい。ゆるくて笑えてくる。まったくハードルが必要ないくらいに見やすくて楽しい。

最高にゆるい

展示室1ではまず仙厓義梵の禅画がお出迎え。カメラ目線の鍾馗図や全く対決する気配のない龍虎図などゆるやかな作品が並ぶ。七福神図もみんな愉快そうだし、こういった題材で必ず取り上げられる寒山拾得や老子なんかもとにかく緩い。威厳なんてあったもんじゃない。まさにそれが狙いっちゃ狙いなのかも。

兄弟子である誠拙周樗の作品も展示されている。こちらも仙厓義梵に負けず劣らずのゆるさ。今回、企画として人気投票を実施しており、数ある作品の中からお気に入りの作品を投票する試みが行われている。仙厓義梵だけでなく誠拙周樗の作品もノミネートされており、眉毛が二つある一つ目小僧図なんかも人気が高い候補作の一つ。

展示室2では彼ら2名に加えて臨済禅の中興の祖と言われる白隠慧鶴の作品も含めた禅画ワールドを展開している。白隠慧鶴の方が時代が少し古いので直接の関わりはなかったとも言われているものの、仙厓義梵がその作風に影響を受けていることは明らかで、やはりこちらも素敵なゆるさを出している。白隠慧鶴から更に真面目さを取っ払って自身の作風に行き着いたのかもしれない。

前期と後期で大幅な展示替えが行われるのが特徴的で、ほぼ入れ替わるといっても過言ではない。人気投票で候補になっている十作品は両方の期から満遍なく挙げられているため余裕があればリピートして観ておきたいもの。トイレは安定のウォシュレット式。

入口の門まで禅っぽく見えてくる


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