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短歌

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簡易的歌集としてまとめておきました。
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#毎日note

前も見ず他人の背を追う踏み出した足の下には地面はあるか?

前も見ず他人の背を追う踏み出した足の下には地面はあるか? 盲目的な追従の先に未来はあるか…

goodnight 日々訪れる小さな死穏やかに死に給えよ我ら

初出:「かばん」2020.11月号

ベルトコンベアに乗っていただけの自分を観るのがそんなに嫌か?

自由もなく意思もなく条件反射で生きていることに気づくのがそんなに苦しいか? 気づかない限…

たとえばさ私もいつか死ぬわけでポテトチップス塩がおいしい

塩分大事 初出:「かばん」2021.2月号

別にもう一度会いたいわけじゃないいつまでもずっと好きなだけです

とある映画の予告編で、 「あなたにも、もう一度逢いたい人はいますか?」 というキャッチコ…

白旗をかかげて去った君の手が武器を生み出す僕の手の中

何かを話しているときに「すごいね」とか「物知りだね」とか「頭いいね」とか言われて遮られる…

吐瀉物を奪い合ってる鳥の群れ いのちをつなぐ いのちをつなぐ

とある繁華街に住んでいた時期がありまして。 (誰がなんと言ってもあんなに治安の良い街はないと思っている)(何しろ通報からお巡りさんの到着までが尋常でなく速い)(だって通報される前から日常的に巡回しているから) それでね、早朝家から出て歩くと、時期によっては吐瀉物なんか当たり前のようにある。忘年会帰り。28時の寒空の路上に放り出されたサラリーマンが吐いた。それを大小様々な鳥が、必要な食糧として奪い合ってる。 そうだね、それは確かにただのタンパク源かもしれないね。 それは数時間

生まれ出ることのないまま供される明太パスタの綺麗なピンク

写真は人からいただいた明太子をとても贅沢に使ったスパゲッティを作ったときの写真です。とて…

まだ君が口にするには早いけどでもまあそれで良しとしましょう

夜道を歩いていてすれ違う集団というのは、 どうしてかこちらが一人、ないし二人と、小人数と…

捻じ曲がるガードレールに導かれヘッドライトはただただ進む

極端な夜道のガードレールって意味ありげに見えますね 短歌初出:「かばん」2021.9月号

大雨を蹴立てて歩く246地球最後の夜を抱えて

実話です 246は国道246号線。 「地球最後の夜」は、正確には「last night on earth」=地球最…

今日の死を決するの安心は留魂録の八章参照

コンニチのシをケッするのアンジンはリュウコンロクのハッショウサンショウ 今日は夏至でした…

作られたタンパク質を飲む僕の生存証明保証書を読む

プロテインは飲みづらく 日常の些事は疎ましく それでも命は続いていく、という話

もう二度と会わない人を追い抜いた生命線は案外長い

「29歳問題」とよく言っているのだけれど、僕が好きな(大切なことなので強調しておくが尊敬はしていない)吉田松陰は、満29歳で死んでいる。 僕の好きな今生きている人たちが、29歳から30歳になるとき、僕はいつもそのことを考える。 今元気に生きている人たちが、楽しく、元気に、過ごしてくれますように。 短歌初出:「かばん」2021,6月号