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メンズファッションの「色の使い方」を徹底解説!もう「めちゃくちゃ」な色使いはさせない!


 さて今回は、久々の有料コラムになります(配信月の定期購読マガジンを購読の方はそのままお読みいただけます)。

前回のオシャレ脳の真髄!「同調」と「相反」でコーディネートは構築されていく!のいわば続編であり、着こなし解説の中核的な話になります。

前回語りきれなかった具体的な「色の使い方」について一気に解説していこうと思うのですが、これがまあ難儀しました。

いきなり「あとがき」的な語り方になっていますが…。


色が無数にある以上、色の組み合わせにも無数のパターンがあり、「この色とこの色は相性が良いですよ」という切り口で話をしだせばキリがありません。

また、洋服は立体的ですから、抽象的な色の組み合わせ論は机上の空論になりやすいのです。

同じ色でも素材によって全く違った役割を担うことも多いですし、それがシャツなのかカットソーなのかニットなのか、はたまたパンツなのか靴なのかでも違ってくる…。

パターンを解説するのではどうしても限界があります。

だから、抽象的に色の話をしてオシマイにするしかないのでしょう。

そうでないと、それこそ膨大な具体例が必要になってきます。

しかし、それで果たして「新しく買ったこのアウターには何色のパンツが合うか?」といった問いに対して読者が自力での解決が出来るようになるかは疑問です。

 

今回はオシャレな人がお店で「お!これ良いね!」と服を手にとったとき、「これにはこれが合うんじゃないかな?」と思考する、その思考過程を出来るだけ効率的に再現出来ることを目指しました。

オシャレな人ほど、何百何千通りという服の組み合わせを実際に目にしたり、解説などなくても注意深く街行く人や雑誌を観察しながら、意識的・無意識的にある程度パターンや法則性を学習し、構築しているはずです。

 

そのパターンや法則性を言語化し、「色の使い方」を徹底解説していきましょう。


 【第1章】「同調」と「相反」を使って「色の使い方」を再構成してみよう


巷にはびこる色の使い方解説の矛盾、虚構の色相表


 多くの「色の使い方」解説では、次のような表が出てきます。



「色相表」と言って、いわゆる「有彩色」と呼ばれる色を「似ているものは近く」「似ていないものは遠く」に配置し、並べたものです。

正反対の性質を持つ色はちょうど反対側にくるように配置されています。

この表を使うと「色について、いかにもそれっぽく解説出来る」というわけなのですが…。

この表が出てきた後は、色の「彩度」や「明度」についての解説が入ったり、あるいは「ベースカラー」や「春・夏・秋・冬」などのパーソナルカラー診断的な解説に入ったりします。

何だかどんどん煙に巻いたような解説に入っていったり…。


話は戻って色相表。

これを用いてメンズファッションの色使いを語っている人を見ると、
「本当にあんたはこれを使ってコーディネートを考えているのか?」とちょっと言いたくなります。


私もサムネイル「映え」のために今回これを作ってもらったんですが、それはフェイクに過ぎません。

ハッキリ言ってこの表を見ていても、メンズファッションにおける色の使い方はほとんど見えて来ないからです。


例えば、ファッションの世界で有名な「相性の良い色の組み合わせ」として、「青と茶色」の組み合わせがあります。



私も何度か紹介したことがありますし、どうやらかなり昔から相性の良い組み合わせとして伝えられているようです。

これを先の色相表から無理やり説明する人がいます。



確かにネイビーとブルーの「青」系の正反対の位置にはオレンジやイエローなどの「茶」に類似する色が来ており、このことから両者はお互いを引き立てる関係にあるのだ…などと説明することも可能でしょう。


しかしこの表から同様の関係にあるピンクとグリーンを抜き出して相性の良いコーディネートを考える…というのは色彩について素人である通常の人には不可能だと思います。


「色相表」は虚構の、つまり作り物の色関係ですから、現実世界の洋服にリアリティーを持って落とし込むにはいくつかの「解釈」を経なければなりません。

例えば先のピンクとグリーンであれば、実は色相表そのままに色どうしを組み合わせても相性の良い組み合わせにはなりません。

リアリティーを持って洋服に落とし込むには、グリーンは鮮やかなグリーンではなく、カーキやオリーブなどくすんだ色に、そしてそれに合わせてピンクも少しくすんだ色にしてあげる必要があります。


「上手く使えば」有用であるこの表も、その使い方が難しい上にほとんどの人は上手く使いこなせないんですね。


https://wear.jp/sonnylabelmens/10921177/


そしてこの組み合わせを思いついた人は、色相表から思い付いたわけではないでしょう。

今まで見てきたたくさんの洋服たち、そしてコーディネートの引き出しの中の、「この組み合わせは相性が良かった」という記憶をもとにしているはずです。

(ちなみに上記組み合わせはやや難易度が高いものなので、思い付けなくても全く問題ありません。)


後から色相表を使って、「なんでこの組み合わせって相性が良いのか?」を説明することは出来ても、色相表が常に頭にあって服を選んでいる、という人はほとんどいないんじゃないでしょうか。


ではどうやって色の組み合わせを選んでいくのか?

幾千ものコーディネートを修行のように、闇雲に見まくってから体得するのも良いですが、もっともっと早く色合わせをの感覚、パターンを掴む方法をお教えします。



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