プロジェクトはじめるときに大切なこと

資生堂の『My Crayon Project』

※2018年に資生堂とR/GAがスタートしたもの。子ども一人ひとりの肌を資生堂の持つ専用の肌スキャナで精密に計測し、その結果をもとに、それぞれの「肌色」を忠実に再現したクレヨンを制作。子どもたちはそのクレヨンで自分の顔の絵を描く。世界にただ一つの「自分色のクレヨン」で画用紙に色をのせた子どもたちは「私の色だ!」と、歓喜の声をあげる。


これを仕掛けた方の考え方が勉強になりました。

『そもそもこのプロジェクトは、資生堂の商品やCSR活動をアピールしようというような、一過性のキャンペーンではありません。プロジェクトの最も重要なポイントは、資生堂のクリエイティブチームと一緒にプロトタイピングを通して「成功するフォーミュラが何なのか」を探っていくことでした。そして、そのために何故、これを資生堂がやるべきなのか。資生堂だからできることを自社の持つテクノロジーを最大限に活用し、新しいアプローチでソリューションを作ろうということ。「資生堂という企業の新しいあり方」を探ることによって、世の中に新しい価値を提供したいということがきっかけだったんです。だからスタート時点ではどんなアウトプットになるのかまったく決めていませんでした。』

『最終的には、「なぜ資生堂がこのプロジェクトをやるのか」というクレディビリティ(credibility:信頼感) が大切だと思いました。「一人ひとりの肌データを採集する」というこの取り組みは、創立以来スキン研究に取り組んできた資生堂だからこそできるテーマです』

目から鱗の発言です。てっきり、資生堂の商品やCSR活動をアピールするという目の前の課題に対して、アイデアブレストしてでてきたものだと早合点していた自分が恥ずかしい。

ついつい、アイデア先行してしまい、「なぜこのプロジェクトをやるのか」というクレディビリティ(credibility:信頼感)っていう観点が忘れ去られがちです。逆にいうと、この根本的な部分がないと、プロジェクトへの共感するパワーというものも弱まるだろうし、何よりかかわる人々のモチベーションや推進力にも大きく影響を与えるだと思います。結構、はじめは鼻息荒く立ち上げたプロジェクトが、1年もしないうちでそんなのあったっけ?位に忘れ去られてしまうケースをこれまでたくさん体験してきました。それはプロジェクト内容の問題というよりも、なぜやるのかという点が参加するメンバーの間で腹落ち感が足りなかったからなんだなと振り返ると思います。

参加するメンバーが、プロジェクトを行う意義に共感したうえで、自分事化&没頭できる体験が生み出せれば、そのプロジェクトは半分成功しているし、たとえ結果が思うようにならなくてもそこでいろいろな気付きを得られて、次の成功の確率はあがるはず。中途半場にやったプロジェクトは結果がどうあれ、一過性で終わってしまう。これってもったいないですよね。

やるからには、次につながるプロジェクトを立ち上げてトライする精神をもつことを決意した次第です。


R/GAが目指す、マーケティングがマーケティングではなくなる世界

https://markezine.jp/article/detail/32847

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