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健常者の気持ちを知ることの大切さ

私が白杖(白い杖)を持つことに抵抗感を感じた理由の1つに電車で席を譲られたくないというものがあった。電車で席を譲る対象は、高齢者であったり、妊婦さんや赤ちゃんを連れている人、体の不自由な人だと思っており、自分が「からの不自由な人」のカテゴリに入らないと感じていたからだ。

私の場合は電車で座らなければならないほどの身体的問題はなく、むしろ、疲れている方々に座ってほしいと思っている。だから、白杖をもって電車に乗ると席を譲られる、それがいやで電車に乗る前に白杖をわざわざ折りたたんでバッグにしまっていたこともあった。

その考えが変わったのは健常者の友達の一言だった。

「奈良、席を譲った側は勇気を出して譲っているんだからそれは断らずに好意を受け取ってほしいと俺は思うよ」

私はこの言葉を聞いて今までいかに障害者である自分の立場しか考えていなかったのか、視野の狭さに恥ずかしくなった。そして、これ以降は電車に乗って席を譲ってくれる人に対しては素直に「ありがとうございます」と伝えて座らせてもらっている。

結構、障害者側は自分のことで精いっぱいで相手の立場まで考えが及ばないこともある。だから、こうやって言ってくれる友達の存在はとても大切。

お互いがお互いを優しい気持ちで思っていれば、きっと、社会はもっと優しいものになるはずだから。

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