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アメリカでも不足している視覚障害教育を担う教員

視覚障害教育というのは世界的にみてもマイノリティな分野。
アメリカでも視覚障害教育を担う教員は不足しているという。

アメリカではこの深刻な人材不足を解消すべく、視覚障害教育を学び教員免許を取得しようとする学生に対して国や州から積極的に助成金が給与されている。

貸与ではなく給与であるところも重要だ。ただし、奨学金を受給した機関の倍の期間を視覚障害教育を行う教員として勤務することが義務付けられている。もともと、興味・関心がありこの分野を目指すわけなのでこの義務規定自体はそれほど厳しいものではないと感じる。

アメリカで国や州が総力を挙げて視覚障害教育の教員確保をしようとする背景にはいくつかの法律が根拠となっている。なかでも、ADAとIDEAの存在は大きい。

これらの法律は障害の有無に関わらず誰もが平等に教育を受けられるようにすることが規定されており、特にIDEAの中にはかなり細かく根拠となる文言が組み込まれている。

そこに視覚障害児がいるのに彼らが必要な教育を受けるための環境を整備できないというのは国に対して裁判を起こせば国は負けてしまう。訴訟国家というのもあるのだろうが、法律がしっかりと根拠となり子どもたちの教育を受ける権利を保障している。

我が国はどうだろうか。

いまだに視覚障害教育領域の教員免許を保有する教員数は少ない。つまり、現状は免許がない教員が視覚障害児を教えることが許容されている。

現職の教員が2種免許を取得するための機会は提供されているが十分とは言えない。

視覚障害教育領域の免許がある=専門性の保障とは言えないが、私が行った研究でも免許の有無は重要な要因の1つであることが見出された。

視覚障害教育に限らず、今の時代、どこもかしこも人材不足なのは事実。では、この現状をどうしたら打開できるのか知恵を絞りたいところである。少なくとも、この領域に興味・関心を抱く金の卵たちに学ぶ機会を保障し、学びを発揮できる現場で働ける教育人事は必要不可欠と考えられる。


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