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奈良 大文字の送り火

奈良では夏の風物詩となっている「大文字の送り火」が毎年8月15日にあります。

高円山というお山に「大」という文字を象った火を並べて作るのです。

これは慰霊の炎です。


2022年8月15日撮影


今年(2023年)は台風の影響で奈良 大文字の送り火への点火は見送られることになりました。

慰霊祭のみ関係者で行われるということです。

大文字の送り火は、昭和35年に始まりました。

戊辰戦争・日清日露戦争・大東亜戦争集結まで、奈良県下で犠牲になった2万9243柱の英霊をご供養するために。また、最近なおやまない戦争・疫病で倒れたすべての御霊のための慰霊のお祭り。

それが奈良の大文字送り火です。

かつて奈良市長を務めた故鍵田忠三郎さんと、その他有志によって創始されました。

忠三郎さん自身もまた、従軍経験者だそうです。

「大」の文字を象るように火床を作りのですが、その数108個。

コロナの時は数を減らすなどの対策があったそうですが、煩悩の数と言われる数字であり、大の字は宇宙を表すとも言います。

人の中にある煩悩を焼き、清浄を持って英霊たちを供養するという願いが込められています。

供養の火を燃やすのは高円山。

ここは英霊たちをお祭りする奈良護国神社のうしろにあたり、御神体の位置にこのお山があること。

高円山はあの空海さまの師匠のひとりである勤操大徳が開かれた岩渕寺がある霊山であることなどが上げられます。

最初は、若草山の少し南ふきんも検討されたそうですが、東大寺の境内が近いこともあり、万が一の延焼の危険も考慮して断念したそうです。

当日は春日大社の神職さんもご出仕し、神式による慰霊と三十余箇寺の僧侶の方のご出仕とともに、神式・仏式慰霊祭が行われます。

こういう形は全国的にも珍しいということです。

春日大社の境内地に「飛火野」という場所がありまして、そちらにて式典を執り行ったあと、合図が送られ高円山の火床に点火されます。

送り火の大きさは、第一画目が109メートル、第ニ画が164メートル、第三画目が128メートルあり、日本最大級の大きさ。

下から見上げている分には炎しか見えませんが、実は高円山にも僧侶の方が趣き、一心に読経されているということです。

実は、英霊たちのお名前を記した名簿があり、それは奈良の大安寺に保管されています。

8月15日の送り火が始まる前、8月1日から、おひとりおひとりのお名前を読み上げる供養がすでに始まっているのです。

今年は炎は上がりませんが、先人たちに感謝を述べ、思いを馳せる日です。

ともに祈りたいと思います。

巻頭イラストはいっぺいさんのものを拝借しました。ありがとうございました。

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