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奈良にうまいもんあり②吉野の筍料理

奈良には掟がある。

柿・筍は買うものではない、それはもらうものである!
という掟である。

子供の頃はほんとに友達の家に遊びに行くと、ダイコンやらミカンやら持ち帰らされた。

私の家はサラリーマン家庭だったけど、友達の家は農家だったり野菜作りをふつうにしていた。

子供心に野菜だの果物だのもたされるより、お菓子やケーキがほしかった。

真実であろう。

大人になってから、それがいかにありがたかく助かるものかわかってきた。
ほんとにここ何年も、お店で柿と筍を買っていない。
筍はあく抜きが大変だから、すでに下ごしらえしてるものを買う時もあるけど、基本的にほりたての筍がドンとやってくる。

同じ理由で素麺もあまり買わない。
もらえるのもあるけど、あれは贈答品だから手を出しにくい気持ち。

奈良漬もあまり買わない。あれはお店で食べるものである。

筍のおいしさがわかってきたのは本当に大人になってからだ。
そしてあの頃、お醤油だけで上手に煮てくれたおばあちゃんの凄さがほんとにわかる。


今吉野に遊びに行くと、あの日おばあちゃんが作ってくれたのに近い味の筍の煮物を路面で売ってたりする。

懐かしい、美味しい、届かない、切ない美味しである。



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