唐招提寺と女帝

奈良　西ノ京にある唐招提寺の額です。

孝謙天皇の宸筆と伝わり、重文に指定されています。

唐招提寺は言わずと知れた鑑真和上のお寺。

森林の中にいるような、静かで優しいお寺です。

鑑真和上が日本に来ることを決意されていたとき、すでに故郷の中国では戒律の第一人者と認められ、沢山のお弟子を抱え、指導者として揺るがぬ地位を持っていました。

しかしそれらを置いて日本に行くことを選んでくださったのです。

鑑真和上が来日したときの天皇が、孝謙天皇です。

和上は、日本にて精力的に働き、戒律に関する事業を推し進めました。

そんな鑑真和上に孝謙天皇は、その功績を称え、役職を解いて緩やかに余生を過ごせるよう計らいます。

鑑真和上はこの唐招提寺で死を迎え、ここに葬られました。

遠い異国から老体に鞭打ってやってきて、我が国の為に働いた方を、孝謙天皇天皇はどんな思いで見つめたのでしょうか。