見出し画像

薔薇と椿のお楽曲のお話

薔薇と椿を詳しく語るには色々と順を追ってお話ししたいところですが、おそらく多くの人が聞きたいであろう音楽の話、というか歌の話を先にしましょうか。
完成アニメが届いた時に「こりゃあ、俺たちとんでもないものを作り上げたかもしれん。」みたいな手応えを感じるほどではありましたが、まさかここまで反響があるとは思いませんでしたよ。

歌の制作やアニメの話を聞きたいでしょうが、それを語るにはどうしても先に音楽全体の話をしないと。次は歌の話するからね。


成り行きで生まれた、されど完璧な曲

歴史でも書いたように、薔薇と椿はかなり長い歴史があります。最初のFlash版は2007年ですか。

正直いうと、このぐらいの頃の自分の作曲能力は低かったと思ってます。いい曲だと言ってくれる人はいますが、それはゲームが気に入ったから流れている曲も好きになるみたいな要素は否めないわけで。まぁ自分としては、曲の作り方とか理論とか深みとか。趣味レベルを超えてないなぁぐらいに思ってます。今はまだマシになったと思いますけどね。ゲーム作るたびに曲作りも続けて勉強しますから。

しかしこんな頃の作曲作品とはいえ、薔薇と椿の音楽は完璧です。

いや、曲の良し悪し・作曲レベルの話ではないです。なんというか、薔薇と椿を見事に表現しているというか。特に戦闘で流れるメインテーマは「この曲以外あり得ない」ぐらいに薔薇と椿してると思いませんか。

もちろん自分で考えたゲーム・世界観ですから、音楽はこういう路線で行こうってのも自分で決めてますよ。こういう曲調は初挑戦だったにも関わらず、迷うことなくスラスラと出来上がった記憶があります。悩んだ記憶がない。スパっと出来上がった。困ったのはそれ以外の曲で、会話デモやタイトル、椿戦の曲なんかは「なんて低レベルな作り方だ」てのが正直なところ。これらはかなり苦労しながら捻り出した記憶がある。結果、「4小節ぐらいのフレーズを作ったらそれを繰り返して、上に重ねていく楽器を変えてパターン増やす」やり方、曲作りの幅がない頃の自分の常套手段。

しかしそれでもこれらの曲も「薔薇と椿」にはなってるんですよね。

つまり何が言いたかというと、「今の俺にこの『ザ・薔薇と椿』な曲を作れるか?」ってことです。なぜ当時薔薇と椿の曲がスイスイ作れたのか、理由が自分でもわかったないからですね。もう十年以上前のことだし。

これまでの間にLA-MULANA2をはじめ何十曲と作ってきて、作曲の腕は上がってきたと思うけども、むしろあの頃の感覚は無くなってる。追加されるシナリオ3と4の曲は新たに書き起こさないといけないだろうが、メインテーマの劣化コピーにならないか?という作る前から無駄に悩んでいたわけです。

そうは言ってもなんとかしなければいけない。そこで計画を立てました。

メインテーマを越えようと意気込むからいけない。まずは依頼のあった歌物を新たな気持ちで渾身の力で作曲するのだ。そうすればシナリオ3と4の戦闘曲は歌のアレンジでいけるでしょ。」と。

こんな感じで始めた作曲作業。ここからは全曲の解説を、時系列順に紹介していきます。

おFlash時代からのお楽曲たち

薔薇と椿と熱き衝動(戦闘曲)

先に書いた通り、もちろんこれが最初に作られた曲。当時の自分の中の、どこの引き出しの中からこれが生まれたのかわかりません。
チェンバロとかハープシコードを使って……ぐらいしか考えてなかったよなぁ。戦闘シーンのための曲というよりは、薔薇と椿という雰囲気を考えて作ったのかなぁ。結果、凄惨な絵面のバックでこの曲が流れることで独特の空気を生み出しているとは思います。

しかしわからん。俺の中で生まれた怪物。

伝説の薔薇の嫁(ストーリーデモ曲)

記憶は定かではないが、順番的にこれを次に作っているはず。
これが先に書いた通り、「4小節フレーズを作り、それを繰り返すだけ。途中で楽器を増やしたり。」の典型的なパターンです。

しかしこれも薔薇と椿の曲としては外せないぐらいにマッチしちゃってますよねぇ。新しいシナリオやラムラーナ編ではデモの曲を変えたほうがいいのでは?とは思ったんですが、これ以外あり得ないって感じ。
自分の引き出しの中にない作風で作っている以上、新たに生み出すにも限界が来るんですよ。すぐにね。

椿の慟哭(椿戦)

これもひどい。なんかボスっぽい曲、でも薔薇と椿の曲調で。……どうすんだよ。

優雅な曲調のラスボスぽさってなんだ。悩んだところで引き出しは空っぽなので、デロデロデロデロと低音でそれっぽいラスボス感を出す。音楽的に正しいのかわからんが、半音ズレたような音を織り交ぜて不気味なフレーズに。……コードがわからん。この低音フレーズに乗せるメロディーって和音的に何?当時の知識ではこんな感じでした。

つーことで今でも気に入ってません。心残りの塊。しかしまぁ、「この曲、ラスボスの雰囲気に合っててイイ!」て言ってくれる人もいるわけだから……スマホ版でもSwitch版でもこの曲を使うしか。

薔薇と椿(タイトル曲)

これははっきりと苦戦したことを覚えている。引き出しどころか机ごと捨てられた感じ。
もうない。出てこない。何を作っても同じような曲になっちゃう。ただでさえ静かな曲ばかりなんだから変化つけないと。でも空っぽ。
無理に違う曲調を探ろうとして、この曲だけオルガンがメインになってます。薔薇と椿ではない引き出しから引っ張り出した記憶。昔見た大河とか朝ドラでこんな感じの曲調があった気がする。

そして出来上がった曲を改めて聴いてみると、俺が好きなアーティストの曲とコード進行がほぼ同じものがあるなぁ……まさに違う引き出しから出てきていたわけだ。しかしこれ以上は何もでん。

お曲名はよく考えませう

ここまでが1作目(シナリオ1)で作った曲たち。この頃はFlashゲームが無料で公開していることもあって、サントラを出すつもりはなかった。だから曲名なんて後からノリでつけてる。そして後々公開するのが、なんで一番違う引き出しから出たタイトル曲に「薔薇と椿」ってタイトル使っちゃったかなぁ。
今回のオープニングテーマの歌にこそ使うべきタイトルでしょうに。未来は読めないので仕方ないにしても、ここまでの話からもせめて一番出来のいい戦闘曲にこのタイトルを使うべきだったのでは。

いや、昔のものだしそれほど表には出てないんだから曲のタイトルぐらい変えてもいいんだけどね。でもその後Flash版のサントラ出しちゃったのよね。

そして曲名はノリで決めていると言ったな?だから俺に向かって「薔薇と椿と熱き衝動って曲が好きです!」とか言うんじゃねえぞ?曲名は何も覚えてないからな。

薔薇は美しく猛る(玲子戦)

こちらはシナリオ2のボス曲。Flashの薔薇と椿2は1から一年ぐらい空いてます。つまり冷静になるだけの時間があったわけだ。

これまでの薔薇と椿のイメージ、曲調とかあまり考えずに作った。シナリオ1の椿戦は体力が多いので長期戦だったので、玲子戦はミスの許されないスピード戦という構想はあった(Switch版ではそれほどでもないけども、Flash版ではマウスさばきを高速で行う難しさがあったの)。
これまでの薔薇と椿の曲調に引っ張られず、このスピード感を優先するために細かい音を階段上のフレーズにして高速というか落ちていく感じというか、なんかそういうノリの、花が散りまくるような疾走感をね。

まだまだ拙い頃の自分の作曲なので、後半パートがいつもの「同じフレーズ繰り返しの上に楽器重ねて水増し」の作りではあるけども、この曲はお気に入りです。メンバーから「曲調が違うけどいいんですか?」と言われたが、気に入ってるので問題ない。

ちなみにこの曲、Flash版の頃からコーラスが入ってます。音を出す機会にもコーラスっていう音色はあるのだけども、歌詞をつけたかったからね。
オペラみたいな感じでRose and Camellia, Love and Hate. Rose and Camellia, Slap and Slap.って歌わせたかったの。なんで?と言われても「笑えるじゃん?」としか。思いついたのだからやらないと。当然、コーラス隊に依頼するなんてできるわけがないので自分で歌いました。音質も声質もプロじゃないんだからはっきり聞かせるわけにはいかないだろうけど、何重にも重ねるからごまかせるか?と思って実行に移しました。

曲名はベルサイユのばらのオープニングの歌詞からですね。

お時代に合わせて音質アツプ

ここまでがFlash版時代の曲たち。
違いとしては、音色が安いです。文字通り安い機材しかなかったので。

ここまでの曲は当然、スマホ版でも使います。ただ出来に不満があるとはいえ、アレンジしなおすようなことはしてません。音楽理論とか楽器ごとに相応しいフレーズ作りとか、今なら少しはましに作り直せそうなもんだけども、下手に手を入れて偶然生まれた薔薇と椿感が損なわれちゃまずいし。

スマホ版の時はその時使っていた音楽ソフト内の音色、Flashの頃に使ってた物よりは高級な音になってます。リアル寄りになったというか。これは金額の問題ではなく技術の進化だね。
Switch版ではさらに高級な音源で鳴らしてます。これは値段の問題。プロ仕様の音色でかなりリアルな楽器の音になってます。鳴らすだけでもレベルが上がって聞こえるぜ。
昔と違って、一本のゲームを作るのに使える予算が上がったおかげですなぁ。ありがたやありがたや。

音色を高級にした理由の一つに、「コーラス音源に歌詞をつけて歌わせることが出来る」ものを見つけたからだ。そう、シナリオ2の玲子戦のコーラスのためだ。無料のFlash版ならいざ知らず、お金を出してもらうSwitch版で音質も声質も素人な自分のコーラスを乗せるわけにはいかない。そもそもその時のコーラス録音データ無くしちゃった。歌い直すにしても歳のせいか一番上のパートの最後の音が出なくなっちゃってるし。
ありがたやありがたや。

おラムラーナ編のお楽曲

スマホ版の際にラムラーナ編の曲を作ってます。Flash版では専用曲ではなく使い回しでした。
作ったというか、ラムラーナで使われている曲を薔薇と椿の曲調にアレンジしているだけですね。

雰囲気全然違うのによくアレンジできるな!という人もいますが、薔薇と椿もラムラーナもほとんどの曲がマイナー調、短調で作られているので、割とすんなりできちゃいます。

古の華(戦闘曲)

ラムラーナの地上で流れる曲のアレンジ。薔薇と椿のような哀愁は減ってますが、まぁシナリオからして薔薇と椿とはノリが違うし。

お次元の狭間(ティアマト戦)

ラムラーナでもティアマトと戦う時に流れている曲のアレンジです。原曲はハードロックなんですけどね。それほど難しくないとは言ったが、この曲は薔薇と椿調にするのが少し手間だったかな。

曲名は原曲の和訳に「お」をつけた。

尽きぬ女の戦い(ルミッサ戦)

ラムラーナ2のオープニング曲、Theme of Lumisaをアレンジ。
Flash版の時はティアマトがラスボスだったんで良かったんですが、この曲はラスボス感はないですね。まぁいいです。

薔薇は散る(ゲームオーバー)

ゲームオーバー画面はスマホ版からなので、当然このタイミングで作曲。うまいこと10秒ぴったりに作れたらいいんだけど……。
……見事なまでに10秒ぴったりになった。

実はSwitch版のサントラを出すことになるまで曲名決めてなかった。……これしか考えられん。

お本題、でも続く

さて。ここからが本題。Switch用に新たに曲を作らなければなりません。

しかし長くなったのでここまで。次は歌の話も含めて残りを紹介しましゅ。

この記事には有料パートはありませんが、マガジンにまとめるには確か有料記事にしなければならなかったはずなので、ここから先に有料パートを仕込みますが何も書いてませんからね。

ここから先は

4字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

盛り上がるのであれば、もっともっと掘り返してみようと思います。