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いつまでも、いると思うな親と推し

好きになったバンドが既に活動休止していた、ライブ行こうか迷っているうちに解散した、メンバーが脱退した…

私の最初の経験は、ELLEGARDEN。スキ…と思い始める2年前ぐらいに活動休止していた。当時高校生でバンドが流行った頃だったので、同じ想いをした同世代がたくさんいたはず。だから、2018年に活動再開とともにツアー発表したときの盛り上がりはすごかった。チケット当落の日は落選報告が溢れていて、すさまじい倍率だったんだろう。

あとはモー娘。の鞘師里保さんももっと見たかった(去年のハロコン出演は涙ものでしたね)。道重さゆみさんもそうですね、卒業コンサートの映像を見て後悔した(活動再開後の握手会に行って無事雪辱を果たした)。だってずっと表舞台に立ち続けると思っていた。

ライブエイドでのQUEENのパフォーマンスだって生きてたら観に行きたかったよ!(Bohemian rhapsodyだいすき)

色々と悔しい思いをしてきたのですが、本日そんな雪辱を成仏させられる朗報が!!高校時代から好きだったが、ライブに行くことなく4年前に活動休止したバンド。

スムルースが活動再開しました!!

…誰?という感じですか。何でもっと有名になれなかったのかな。ドラマの主題歌になれそうな曲がたくさんあるし、もっと多くの人に聞かれるべきバンドだと思う。Spotifyの今月のリスナー、175ですよ(参考値:Official髭男dismは1,855,053)。スムルースの良さを少しだけ紹介させてください。

① 曲の振り幅

深い深いしんみりする恋愛の歌を作ったかと思えば、急に「パンが焼けたよ」なんて歌を生み出す。パーンパーンパパパパパーンパパパーンが焼けたよ♪で始まります。でも実は、恋模様をパンの焼き具合に例えた歌なのです。一般人を遥か遠くへ置き去りにするその感性に痺れる…!

② MVのチープさ

「パンが焼けたよ」のMVです。やや雑にパス抜きした食パンを背景に、一発描きかというキャラが躍る躍る。最初は何だこれと笑って見るのですが、映像の単純さゆえにかえって曲を解釈する余裕ができて、結局は曲に引き込まれている自分に気づく。

「LIFE イズ 人生」です。頑張れば高校生の文化祭で再現できそう。1番のAメロの歌詞を抜粋します。

若い二人は手探りラブリーで
シュビビッのホロリの駆け足でゴール
ケンカもにわかに若い和解
ニャンニャン仲直り ジャストフィット

人間は1日に6万個の物事を考えると言いますが、こんなこと思いついたことあります!?Aメロだけでなく、終始この調子で歌詞を書ききっています。し、痺れる…!でもよく読めば、結婚生活について核心をついた歌詞です。

結婚してすぐは何の疑いもなく愛し合っており気分は無敵、まさに夢の中。しかしどれだけ愛し合っていても、人生を共にする限り良くない時も訪れる。そんな時こそ"盛り上がろうぜ もう一度 永遠を 誓い尽くせ" "恋のピークは夢から覚めてから"と歌っています。確かに、夢見心地のうちはいくらでも綺麗事を言える。でも夫婦の本質は、夢が覚めて相手が日常の一部になり始めた時にどれだけ同じ方向を向いて生きていけるかにある、ということでしょうか。そして最後は"恋のルールは夢から覚めぬこと"で終わります。夢から覚めるのがなんぼのもんじゃい。夢なんて何回でも見られるわい。何回でも好きになればいいやん、と。

実際、結婚して30年の両親を見ていても同じような夫婦像を感じます。10年前ぐらいはこのふたり大丈夫か?と思うことがあったけれど、今はまた良い距離間で寄り添っている。自分が結婚した時にも、心に留めておきたい歌詞です。

これだけ夫婦の核心をつくなら、もっと高級に仕上げることもできたはずだけど、スムルースはこの文化祭のような雰囲気に仕上げた。本当に自分たちのやりたいことをやっているんだなという空気感が好きです。

③ 世界観

既に「LIFE イズ 人生」で散々語ったけれど、曲の世界観が非常に美しい。3曲紹介させてください。

「冬色ガール」。綺麗なメロディーを聞いていると、今にも雪が降りだしそうな空やヒヤリと澄んだ冷たい空気が、本当に自分の前に広がっているような気持ちになる。歌詞も本当に素敵なんです。

静寂が慈しむ晩冬の切片は ほほをなで伝わり溶けて消えた
体に吹き付ける 雪花行き混じる わずらう悲しみいといとまなく

ラスサビ前(Cメロ?)。どう生きればこんなフレーズが思い浮かぶのかな。溜め息が出るほど綺麗。歌詞からも冬の冷たさが伝わってくるのですが、その中にどこか暖かさも感じる。冷たい中に少しの暖かさを感じることで、より切ない気分になる。

「ダイビング深海魚」。まるで自分が深い深い海の奥底に沈み込んだようで、何か優しいものに抱かれて深海をふわふわと漂っている気分になります。

キミの寝顔がまるで
弦の途切れたクラシックギターみたいに
無音を奏でる 無音を奏でる
啓蒙されたボクは伸縮自在で
お札の透かしみたいに
光ですぐに露呈する愛のかたち

1番のAメロとBメロ。いやもう、正直よくわからん。常人の理解を超えている。でもキラキラとした宝石を見た時のように高揚してしまう。

「リリックトリガー」。夜空いっぱいに瞬く星と明るい月と一緒に、自分も空の中に浮かんでいるような気分になる曲。

そこにあるのは 夢の竪琴
すべて忘れ 孤独でいた
なのに 涙があふれるのは
君に触れて 幸福の引金をひいた
もう独りでまたたけない
名もなき星に名をつけよう

サビ。好きな人と一緒に居られる幸福と、幸せだからこそ抱いてしまう不安をこんなに綺麗な言葉にできるのか。

宝物ってひとりだけでそっと眺めるか、大切な人とだけ分かち合いたくなりませんか?これらの曲も私にとっては綺麗な宝物のように感じて、ひとりだけでそっと噛みしめるか好きな人とひっそり聞きたくなります。

私の拙い表現ではスムルースの曲の素晴らしさの1割も伝えられないので、ひとりでも多くの人に聞いてもらってこの美しさを味わってほしい。

そして私は、直接曲を聞けなかった悔しさを晴らしに今度こそライブに行きます。

    ・・・

今後の社会では終身雇用制が崩壊していくと言いますが、芸能界もこれから多様性が増して変化が速くなる気がする。だから、ますます「あの時チケット取っていれば…!」と後悔することが多くなるんじゃないかな。

お金が無い、どうしても仕事を休めないなどは仕方がないけれど、何となく尻込みするという理由で行かないのは非常にもったいないので、思い立った時に行動しておきたい。

推しに限った話ではないですね。会える時に会う。いつまでいるかなんて誰にもわからない。



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