ゴーン報道に見る新生銀行のコンプライアンス意識

 以下は、ゴーンと新生銀行との取引の存在と内容が、一連の報道のとおりであったと仮定しての意見である。同行は含損失発生で増担保が必要になってそれをゴーンに要求したら、ゴーンから取引当事者を同氏から日産に変更する提案を受け、取締役会承認を前提にそれを承諾した、ということである。取締役会の承認など取れないだろう。とすればゴーンもあきらめて、同行の要請である増担保に応じるであろうという読みだったのか。それが案に相違して、取締役会の承認を取ってきてしまった(常識的にはあり得ないと思うが)ので、やむなく当事者のスイッチに応じた、ということか。金融庁から指摘されるまでは通常の取引とまでいえないまでも、取締役会の承認さえあれば許容される取引であったと考えていたのか。それとも、ゴーンについては、日産内部だけでなく、同行においても超法規的な存在だったのか。同行の規範意識はどこへ行っていたのか。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?