信託は儲からない

 信託会社の設立は静かなブームのようで(7月31日日経参照)、筆者にも設立や運営についての相談が来る。信託というのは「箱」で、中に何を入れてもいいし、受託者の裁量で中身を加工できるから、魔法の箱のように過大な期待をしている人たちがいる。ところが、信託の受託営業というのはなかなか成果のあがらないもので、運よく受託できても、信託報酬は微々たるものになることが多い。はっきり言って、信託だけで収益が計算できるようなものではない。中に入れるものとのシナジーにより、信託を含むトータルで収益をあげていくビジネスモデルを作らないと、金融庁の厳格な監督を受けるただの重い空箱になってしまう。

鳥飼総合法律事務所 弁護士 奈良正哉

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