見出し画像

離れているから、一緒に旅を

気がつけば季節は、秋(カンボジアは雨季の終わり)。
世界が全体が大きな変化に直面したあの2020年から、2度目の秋。
この秋は、うれしい秋だ。
なぜなら、旅するzoomの新しい旅が、始まろうとしているから。
2020年の春に手探りで始めて、2020年秋から静かに休眠していた旅するzoomが再び目を覚まして動き出そうとしている。
旅するzoomのこれまでと、新しい冒険のお知らせです。
長いですが、これも歴史の一部と思って丁寧に書きます。

2020年春 旅するzoomの第一章

忘れもしない、2020年の春、旅は変化を余儀なくされた。
そして、旅を提供する私たちも。
カンボジアでは国外からの観光目的での入国が実質不可能になり、4月のクメール正月を迎える頃に州間移動が禁止になり、国内観光客の移動も消えて、目の前がいっそ爽やかなほどだだっ広い、何もない世界になった。

抜けるような乾季の青空と変わらず元気な太陽の下、ものごごろついて以来初めてといってもいいほどにスッキリした“自由“を痛感する日々。

折しも、日本も緊急事態宣言が発動され、働く時間が中心だった人々は日々のコアが、ぐらぐらと揺らいだ。それも1人2人ではなく、社会の多くの人にとって。

果たして、この世は私たちに何をせよと言っているのだろう?

そんな問いの中で、『旅するzoom』は生まれた。
オンラインツアーや現地からの中継ではなく、別の場所で生きるこの人とこの人を直接つなぐ、そういう旅。今、相手の目の前にある世界にお邪魔させてもらう。訪れる人と迎える人とがあ出会ってまだ見ぬこれからの生き方、暮らし方を探すリアルな旅に近い空間が、zoomというパイプを使えば実現できるかも。
かも、だけど、やってみよう。そんな船出だった。

▽旅するzoomの始まりと、そこでの発見についてはこちらから。

初めの頃、旅するzoomの大事な役割は「カンボジアの元気なエネルギーを届けること」だった。

その後、次第にコロナ時代の中でも実直に根を張って生きている、日本や世界の人たちを訪ねる旅へと熟成を重ねながら「これからの暮らし方、生きていく道を、旅を通じて手探りで探す」ことへと変化していった。

この状況のなかで見えてきた大事なものはなんなのか。
この不思議な時代を生きる私たちは、
どんな自分で、どんな私たちで、どんな社会で、ありたいのか。

旅するzoomを終えて、それぞれが見つけたヒントをポッケに入れて帰っていく。
誰かの言葉を聞き、自分のことを話す。
人に会いにくい世の中だから噛み締める、その時間の重要性。
そこから生まれてくる、新しいヒント。
それが時に自分を勇気づけたり、誰かと一緒に踏み出す機会をくれたりする。

そういう瞬間を生み出すのが旅するzoomの仕事。
そして、旅屋の生きる喜びでした。

2020年夏 休眠


コロナの時代は予想より長く、皆それぞれ戸惑いながらも、前とは少し違う日常へと移行していった。
休校・在宅、新しい暮らし・働き方への適応。オンラインとリアルのバランス。
新しい日常のあれこれが再び視野の大半を占めるようになって、旅するzoomの最初の役割もそっと終わりを迎えました。
それぞれの中にあるヒントが、新しい日常をきっと支えてくれると信じて。

ときを同じくして皆さんの日常とは別に、私たちNapuraにも変化が訪れた。
コロナで行き場を失った「地元の素敵な老舗ホテル」という大きくて不思議な生命体が転がり込んできたのだ。
2021年9月にホテルを引き継いだあと、もう今では記憶も曖昧なほど、体当たりの日々が始まった。

▽ホテルを引き継ぐ前後のストーリーはこちらに。

2021年夏 旅するzoom新しい旅 子どもたちと。


それから1年が経った夏。この1年の間にたくさんのことがオンラインに移行し、こちらがホテル育てに没頭している間に、多様なオンライン旅が生まれていた。
動員数も多く、見せ方も、伝え方も上手い旅がたくさんある。
あえてその日、その場所のありのままに直接つなぐ旅するzoomが登場する機会は、もう全くなさそうに見えた。

そんなとき。

子どもたちに「いつもと違う世界」を届けてほしい。

そんな依頼をいただいた。

学校もオンラインが続き、2年目の緊急事態宣言で外出もしにくい。
こんな状況だからこそ、子どもたちには世界の広がり、自分たちの日常と違う、誰かの日常があるのだということを感じてほしい。

自らも親である事業家さんからの、とてもまっすぐで切実な希望でした。

カンボジアも学校はオンラインのまま。私も子を育てる親でもある。
その身で感じることは、コロナだろうが、先が見えなかろうが、子どもたちは着々と成長していく。その周囲にあるすべてから刺激を受け取って。
その刺激が、諦めと我慢の色に染められているのは、切ない。
自分の息子にもときにそれを感じて、申し訳なく思うこともある。
一生に一度しか来ない◯歳の年を、思いっきり応援したい。
違う種類のドキドキやWow!を、彼らを取り巻く世界の中に滑り込ませたい。

やりましょう。すぐに。

これからを探究する大人たちという旅の仲間から、新鮮な驚きと純粋な発見を求める子どもたちという新しい仲間を得て、旅するzoomは再始動しました。
やろうと言ってすぐにできるのはお声掛けいただいたところが、未就学から小学生を中心に多様なプログラムをお届けしているとても素敵なプラットフォーム『kidsweekend』さんだったから。

▽こちらが、提供しはじめた5歳から12歳の方を対象にした旅。

*トップページの教室検索で「生きる力」をクリックしていただくと、1番最初にこれ、出てきます(クリックしてみて!)。9/23開催の旅もあります。

旅するzoomの新しい旅 その2 貸し切り家族・仲間旅

そうして月に1度くらいの頻度で、ゆっくりと進んでいた旅するzoomにもう一つ、海外単身赴任の親御さんから新しいリクエストが。

コロナで日本に帰国できず、家族と一緒の時間を過ごせる旅をしたい。

一も二もなく、やりましょう、ぜひに。

なぜなら、これもわかりすぎるほど、わかるから。
同じ国に住んでいても、私も実質単身赴任。
LINEで電話できるとはいえ、だんだん「共通の話題」が減っていく。
「ごはん食べた?」「食べた」
「何食べたー?」「ごはん」
こちらから繰り出すいつもの質問に、つれない息子の答え・・。
同じ時間を過ごす、同じ情景を見る時間って大事なんだよな〜。

このリクエストをきっかけに、
ー同じ街に住んでいたお友達家族との同窓会旅
ー同じ講座を受講していた仲間たちと久しぶりの再会旅
ーコロナで会えなくなっているおじいちゃんおばあちゃんとの家族旅

など、いろんな「この人と一緒に旅したい」をいただいて、「貸し切りオンライン旅するzoom」をオーダーメイドでつくりました。

リアルの旅と同じように、旅に参加するのはどんな方なのか、一緒にどんな時間を過ごしたいのかを聞くところから旅が始まっていく。
そして、広く大きくたくさんの人に参加してもらうのではなく、必要としてくれるお子さんや、ご家族と丁寧にそのときだけしか生まれない旅をつくっていく。

これは、Napuraのリアルな旅でもやっていたこと。
私たちがやりたいと情熱が湧いてきて、かつ得意なことでもある。

かつて、上に登場した『旅するzoomと、これからの旅は。』には、

旅行をするというより、誰かに大事だよという気持ちや元気を届けるツールとして使ってもらえたら、さらにうれしい。

と書いてありました。
そう、そう、そうだよ。
旅という日常を離れる時間を一緒に楽しむ。
一緒に楽しむ時間を贈る。

離れているからこそ、それは大事な、家族の、仲間の記憶になる。

国を超えてヒョイっと移動できるようになる「いつか」の手前、まだ気軽には会いにいけない今だから、一緒に時間を過ごしてほしい。

あ、と心が動いた方は、ぜひ一緒に旅をつくりましょう、旅するzoomで。


2021.09.21






この記事が参加している募集

おすすめギフト

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?