耽る


すみません、物思いに耽っていました。

一瞬たりとも忘れられないんです

昔、大好きな人が居たんですが

その人の近くにいると

気が狂いそうになるんです

こんなことなら死にたいと思うほどの苦しさと

このために生まれてきたのだと思うほどの幸せが

同じだけ、同じように襲ってくるんです

だから私が人生を思うとき、

毎夜ベッドの温かさにむしろ孤独を思う時、

私のぜんぶは、
あの時を目指すように動くんだと思います

その時を待っていた過去の私には、
どんな苦しみも未来への期待に輝いて見えて

その時を過ぎた今の私は、甘い生傷を何度でも
開いて、痛んで、縋って、生きていくんです

美味しいお酒でも飲みます。